【ベトナム進出/移住】基礎編|現地情報はどこから得るべきか
はじめに
海外生活を始めた日本人の多くが、最初にぶつかる問題があります。
情報を一体どこから得ればいいのか?
という問題です。
海外に住むと、日本にいたときのように自然に情報が入ってくるわけではありません。テレビをつければ、ネットに繋げばニュースが流れてくるでしょう。ですが、周囲の人が当たり前のように話していることも、言語が違えば理解できません。そのため、多くの人が最初に戸惑います。
では、現地の情報はどこから得るべきなのでしょうか。
例えば、私が住んでいるベトナム・ハノイの場合。残念ながら、多くの日本人はベトナム語がわかりません。
ベトナム語ができないと、多くの人は自然と次のような情報源に頼るようになります。
- 日本のニュース
- 日本語メディア
- SNS(日本人駐在員の場合は X が多い)
もちろん、それ自体が間違いというわけではありません。しかし、それだけを信じてしまうのは危険です。
なぜなら、日本メディアは基本的に「日本人向けの視点」で書かれているからです。
つまり、現地の温度感や実態が十分に伝わらないことが多いのです。
情報の”ズレ”は簡単に起きる
実際に、こうした情報のズレは簡単に起こります。
例えば、最近こんな出来事がありました。中東情勢の緊張が高まった際、日本語圏で「中東からの石油供給が止まり、ハノイでガソリンが枯渇した」という内容のニュースが広まりました。この情報はSNSでも拡散され、多くの日本人が「ハノイではガソリンがなくなったらしい」と受け止めていました。
しかし実際のハノイでは、ガソリンが枯渇するような状況までは起きていませんでした。
ここで少し考えてみたいのは、なぜこのような情報が広がりやすかったのかという点です。
理由の一つは、日本人とベトナム人の生活の違いにあります。ハノイでは、多くの人が日常的にバイクを使います。通勤、買い物、食事。ほとんどの移動はバイクです。そのため、ガソリンは生活に直結する存在です。給油も日常の一部であり、ガソリンスタンドは街中にあります。つまり、もし本当にガソリンが枯渇するような状況が起きれば、すぐに多くの人が異変に気づくはずです。
しかし日本人の場合、ハノイで自分で車やバイクを運転する人はそれほど多くありません。移動の多くは「Grab・タクシー・社用車」などに頼ることが多く、日常生活の中でガソリンに触れる機会がほとんどありません。つまり、日本人にとって「ガソリン不足」というニュースが、どれほど現実的なのかを判断する材料が少ないのです。
このように、現地の生活感覚との距離があると、ニュースの違和感を判断することが難しくなります。そしてその結果、実態とは少しズレた情報でも広がりやすくなります。
こういうときに重要になるのが、ローカルの情報源です。現地のニュースや情報を見ることで、社会の空気感や実際の状況をより立体的に理解することができます。
現地情報を知るための基本
ローカルニュースを見る習慣
海外で生活する上で重要なのは、ローカルニュースを見る習慣を持つことです。現地のニュースを見ることで、「社会の空気感・政策の動き・生活に関わる出来事」などが、はじめてリアルに見えてきます。
もちろん、最初は言語の壁があります。しかし最近は、ブラウザ翻訳もあるため、ニュースの内容を理解すること自体は難しくありません。大切なのは、まず「現地のニュース媒体を知ること」です。
そこで今回は、ベトナムの情報を知るための主要ローカルニュースサイトをいくつか紹介します。
ベトナム主要ローカルニュースサイト
VnExpress
ベトナムで最も読まれているニュースサイトの一つです。オンラインメディアとしては国内トップクラスの影響力を持っています。政治、社会、経済、国際ニュースなど幅広い分野を扱っています。そのため、ベトナムのニュースを知る上でまず最初にチェックしておきたい媒体です。
記事の更新頻度も高く、ニュースの速報性にも優れています。また、社会問題や生活に関する記事も多く、ベトナム社会の雰囲気を知る上でも参考になります。英語版もあるため、外国人でも比較的読みやすいのが特徴です。
VietnamNet
政府政策や政治ニュースに比較的強いメディアです。インフラ整備、IT政策、デジタル化、社会制度など、国家レベルの政策動向を扱う記事が多い傾向があります。
そのため、ベトナムの政策の方向性や、政府がどのような社会課題に取り組んでいるのかを理解する上で参考になります。ビジネスや投資の視点でベトナムを見る人にとっては、政策の流れを把握するための重要な情報源の一つです。
Tuoi Tre Online
南部ホーチミン市を中心とする有力新聞「Tuổi Trẻ」のオンライン版です。南部中心ながら、全国紙としての影響力があり、社会問題、教育、若者文化など幅広いテーマを扱っています。
特に教育問題や社会課題についての報道が多く、ベトナム社会のリアルな空気感を知るうえで参考になる媒体です。また、若い世代の関心を反映した記事も多く、社会のトレンドや価値観の変化を感じることができます。
Thanh Nien
こちらも全国紙として知られる有力メディアの一つです。社会問題や事件報道などに比較的強く、交通事故、犯罪、社会問題などを詳しく報じる傾向があります。そのため、日常生活に近いニュースや社会の動きを知る上で役立ちます。
ベトナムの社会問題や市民生活に関するテーマを理解するためにもチェックしておきたい媒体の一つです。
Dân Tri
教育、医療、福祉、地方ニュースなど、社会問題を取り上げる記事が多い媒体です。貧困問題や医療問題、教育格差など、ベトナム社会が抱える課題を扱う記事も多く掲載されています。
そのため、単なるニュースだけでなく、社会の背景や構造を理解するための情報を得ることができます。
Lao Dong
労働組合系の新聞として知られており、労働問題や経済ニュースに強い媒体です。最低賃金、労働環境、雇用問題など、働く人に関するニュースを多く扱っています。
また、労働政策や社会制度に関する記事も多く、ベトナムの労働市場や社会政策の動きを知る上で参考になります。そのため、企業経営や人材管理に関わる人にとっても知っておくと役立つ情報が多い媒体と言えます。
Ha Noi Moi
ハノイ市に関するニュースを中心に扱うローカル新聞です。都市開発、交通政策、行政の取り組みなど、ハノイ市に関するニュースが多く掲載されています。
そのため、ハノイで生活している人にとっては、都市の動きや地域ニュースを知るための重要な情報源になります。また、都市計画やインフラ整備など、ハノイの変化を知る上でも参考になります。私もハノイ在住のため、積極的に活用しています。
ZNews
比較的新しいデジタル系ニュースメディアで、若い世代の読者を意識した記事が多いのが特徴です。
社会トレンド、エンタメ、IT、ライフスタイルなど、インターネット文化に近い話題を扱っています。そのため、ベトナムの若者文化や社会のトレンドを知る上で参考になります。
CafeF
ビジネス・金融ニュースを中心とするサイトです。株式市場、不動産、企業ニュースなど、ベトナムの経済動向を知るための情報が多く掲載されています。
投資家やビジネス関係者がよくチェックする媒体で、企業の動きや市場のトレンドを把握するのに役立ちます。ベトナム経済を理解したい人にとっては、重要な情報源の一つです。
The Saigon Times
外国人向けの英語ビジネスメディアです。投資、政策、企業動向など、ベトナムのビジネス環境に関するニュースを英語で読むことができます。
外国人投資家やビジネス関係者を読者層としているため、海外視点で整理された記事が多いのが特徴です。英語でベトナムの経済ニュースを知りたい人には、非常に読みやすい媒体です。
The Saigon Times Official Site
ローカルニュースを見るときのポイント
現地のニュースを見るときに大切なのは、一つの媒体だけを見ないことです。なぜなら、ニュースメディアにはそれぞれ立場や特徴があるからです。
例えばベトナムのニュースでも、
- 政策や政府の動きを重視するメディア
- 社会問題や市民生活を中心に報じるメディア
- 経済やビジネス情報を中心に扱うメディア
など、先に述べたように媒体によって扱うテーマや視点が大きく異なります。
そのため、同じ出来事であっても、報じ方が変わることがあります。
例えば、ある政策について
- 政策系メディアは「政府の取り組み」として報じる
- 社会系メディアは「市民生活への影響」に注目する
- ビジネスメディアは「企業や市場への影響」を中心に書く
といった違いが生まれることがあるわけです。
これはベトナムに限った話ではなく、日本のニュースでも同じことが言えます。つまり、ニュースというのは、必ずしも「一つの視点」だけで構成されているわけではないのです。
だからこそ重要なのは、複数の情報を見比べることです。「別の媒体ではどう報じているのか」「他の視点ではどのように説明されているのか」を確認することで、出来事をより立体的に理解することができます。
特に海外のニュースを見る場合は、文化や生活環境の違いもあるため、一つの情報だけで判断してしまうと誤解が生まれやすくなります。
だからこそ、ローカルニュースを見るときには複数の媒体を参考にする習慣を持つことが大切です。
情報の価値は「正しさ」だけではない
情報の価値は、単に正しいかどうかだけで決まるものではありません。
現実の意思決定では、
- どの立場から書かれているのか
- 誰に向けた情報なのか
- どの情報が抜けているのか
によって、情報の意味は大きく変わります。
つまり重要なのは、「情報そのもの」だけではなく、情報の背景や構造を理解することです。ローカルニュースを見ることは、その第一歩になります。
私自身、最初は日系法人の駐在員としてハノイにやってきました。その後、現地法人の支社長として事業の立ち上げに関わり、実際の事業設立、事業運営、そして事業閉鎖まで、すべてを経験してきました。
その経験の中で強く感じたことがあります。
事業の勝敗は情報の量ではなく、情報の見方で決まる。
あらゆる局面での意思決定は、いかに多角的な視野の中で情報を捉えるか。そして、適切な取捨選択ができるか。これらによって大きくものごとは変わります。海外で生活する場合でも、海外でビジネスをする場合でも、情報との向き合い方は非常に重要なのです。
『【体験談】情報の本質とは何か』でも、このテーマについて書いています。興味がある方は、ぜひそちらも参考にしてみて下さい。
おわりに
海外で生活する人、海外と関わるビジネスをする人、日本から海外を見る人。
どんな立場であっても、現地の一次情報を知ることはとても重要です。
今回紹介したニュースサイトは、その入口としてぜひ一度チェックしてみてください。
情報の見方が変わると、世界の見え方も少し変わってきます。
現地情報の読み方や、事業方針の判断に迷いがある方は、お気軽にお問い合わせください。
その他、ハノイにおけるニュース以外での情報の入手先の参考として『【現地情報】ハノイ現地ニュースの入手先』も参考にしてみて下さい。