【体験談】ハノイのベトナム人はどこで買い物する?

【体験談】ハノイのベトナム人はどこで買い物する?

はじめに|“どこで買うか”が文化を映す

日本とは異なるベトナムの日常

街の雰囲気、政治の仕組み、人々の暮らし方。日本の首都・東京と、ベトナムの首都・ハノイ。
この2つの都市には、似ているようでいてまったく異なる日常が流れています。

なかでも、ハノイで暮らしていて最も違いを感じるのが「日常の買い物」です。食材や日用品の買い方は、その国の生活スタイルや価値観をそのまま映し出します。つまり、“どこで買うか”には、その国の文化が現れるのです。

  • ベトナム人は肉や野菜をどこで買うのですか?
  • スーパーは市場よりどれくらい高いのですか?
  • ベトナム人は日用品をどこで買うのですか?

ハノイで生活していると、こうした質問を日本人の方からよく受けます。

時代とともに買い物をする場所は急変化

実際、ハノイでは“どこで買うか”が人によって大きく違います。朝の市場で新鮮な野菜を買う人もいれば、清潔なスーパーでまとめ買いをする人もいます。また、スマホ一つで注文できるオンラインショッピングも急速に普及しています。

買い物は、その国の「暮らしのリアル」を最も身近に感じられる行動の一つです。この記事では、実際にハノイで生活してきた体験をもとに、ベトナム人がよく利用する買い物スポットをわかりやすく紹介します。

食品・日用品・生活雑貨。ハノイでの“リアルな日常”を、買い物の視点から一緒にのぞいていきましょう。

1. 市場(Chợ)|ハノイ人の“生活の原点”

市場ってどんな場所?

ハノイの人々にとって、市場(チョー)は今でも“生活の中心”です。古くからある「Cho Dong Xuan(ドンスアン市場)」をはじめ、住宅地ごとに小さなローカル市場が点在しています。

ドンスアン市場の1階の様子
ドンスアン市場の1階の様子

市場では、野菜・果物・肉・魚・卵などの生鮮食品が中心。ですが、大きめの市場では、布・服・コップ・箸・箒・洗剤などの日用品も販売されています。

市場が賑わう時間帯

朝5時〜10時頃までが最も賑わう時間帯で、主婦や高齢者が多く買い物に訪れます。値札はほとんどなく、グラムの量り売り、時には価格交渉が基本です。人と人との会話を通して買い物をする“温かさ”が、今も根強く残っています。

ホム市場のフルーツ販売の一画
ホム市場のフルーツ販売の一画

ただし、衛生面や保管環境は日本のように整っているわけではありません。そのため、客や駐在員には少しハードルが高く感じられるかもしれません。ですが、ハノイ人にとっては「その日の新鮮なものをその日のうちに食べる」という、生活のリズムそのものです。

ホム市場で私がよく買い物をするお店
ホム市場で私がよく買い物をするお店

市場の見つけ方

大きな市場は、Google Mapで検索して探すことができます。

  • ドンスアン市場:14 P. Đong Xuan, Hoan Kiem(観光としても有名なハノイ最大規模の市場)
  • ホム市場:79 P. Hue, Ngo Thi Nham, Hai Ba Trung(ハノイ中心地で二番目に大きな市場)
  • リンラン市場:53 P. Linh Lang, Cong Vi, Ba Dình(日本人街に位置する市場)

ですが、ハノイのローカルエリアの市場は、Google Mapで調べても出てきません。そのため、バイクで路地に入り込み、生活に根ざしたエリアへ直接足を運んで見つける必要があります。

ローカルエリアの市場
ローカルエリアの市場
ローカルエリアの市場(肉屋)
ローカルエリアの市場(肉屋)

市場(Chợ)で売られているモノの値段

市場によっても異なりますが、ローカルスーパーマーケットよりも20%前後は価格が下がります。ですが、ベトナム生活に慣れていない場合、足元を見られて高く売られることもあり注意が必要です。上手に買い物するには、買い物慣れ、ベトナム生活慣れが必要です。

実際に市場で買ったもの
実際に市場で買ったもの

※市場に関する記事は、以下にもまとめています。

2. スーパー・ミニマート|便利さと品質のバランス

スーパーマーケットはまとめ買いに便利

ここ数年で最も利用者が増えているのが、WinMart(旧VinMart)Go!(旧BigC)などのスーパーマーケットチェーンです。これらは、住宅エリアに多く、中にはアパートの1階などにあるケースも。野菜や肉、日用品などをまとめて買えるため、とても便利な存在です。

価格は市場よりは高くなりますが、日系スーパーマーケットより安価に商品を購入できます。また、品質や衛生管理が安定しており、若い世代や共働き世帯を中心に利用者が増えています。

スーパーマーケットとコンビニは違う

さらに、2021年からは「WinMart+」という小型スーパーマーケット形式も開始。夜遅くまで営業しているため、忙しい都市生活者の味方になっています。

また、Circle K、GS25などのコンビニも、飲み物・軽食・生活小物などを買う場所として定着しています。
ただし、日常の買い物をすべてここで済ませる人はまだ少なく、あくまで“補助的”な存在です。

Circle Kの外観
Circle Kの外観
Hai Ba Trungにある日本商品も取り扱うコンビニ
Hai Ba Trungにある日本商品も取り扱うコンビニ

WinMart+ はハノイで欠かせない存在に

「WinMart+」は、スーパーマーケットのような品揃えながら、店舗のサイズ規模や立地からコンビニのように認識されています。Smart Cityと呼ばれる都市開発が進むエリア、Cau Giayなどのオフィス街、HoanKiemのような観光地、ハノイの至るところで「WinMart+」はあります。どこにでもあるため、急な買い物にも便利で、駐在生活を支える一手を担ってくれます。

WinMart+の外観
WinMart+の外観
WinMart+の商品棚
WinMart+の商品棚

急拡大する”WinMart+Nông thôn”

また「WinMart+Nông thôn」(田舎にあるWinMart+)も店舗数を急激に増加。毎月50店舗を出店するペースで計画を進めているという脅威のスピード展開を見せています。これは、農村地域に住むベトナム人に、高品質な商品、近代的なサービス、利便性をより身近に提供するということを示しています。そのため、今後は農村部の暮らしにも変化を与えることが予想されています。
(出典:Dan Tri | WinCommerce mo moi gan 50 cua hang WinMart+ Nong thon moi thang

3. モール・日系スーパー|品質を求める層に人気

ベトナム人にも大人気のAEON MALL

ハノイには、AEON MALL(イオンモール)をはじめとする大型ショッピングモールがいくつかあります。もともとは日本人をはじめとした外国人や中間〜高所得層が多かったものの、今ではベトナム人の家族連れの利用が急増しています。

休日になると、家族で映画・食事・買い物を楽しむ姿が見られ、まさに“娯楽と生活が融合した空間”になっています。特にフードコートの利用者が多いことが特徴です。また、食品売り場では日本製の調味料や冷凍食品も手に入り、日本人にとって品質面では圧倒的な安心感があります。

完全にローカルに根ざす”FUJI MART”

また、FUJI MART(フジマート)もハノイのベトナム人には人気のスーパーマーケットです。開業したのは2018年のこと。今ではローカルに完全に根づいており、ベトナム人客の利用が目立ちます。

他にも、GYOMU JAPAN(業務スーパー)TOMIBUNといった日系スーパーマーケットもあります。ですが、こちらは日本人利用者が多く、ローカルのベトナム人は滅多に利用しません。

FUJI MARTの外観
FUJI MARTの外観

モールは土日の利用客が圧倒的に多い

AEON MALL や VINCOM MEGA MALLといったモール内にあるスーパーマーケットの最大の特徴は、土日のような週末利用客が多いという点です。家族連れでの利用が多く、食品やフードコートを中心に大量の人が流れ込みます。

日曜日のAEON MALLのフードコート
日曜日のAEON MALLのフードコート

実際にモール側もそこを狙い、日曜日だけセールを実施するところもあります。売れ筋の商品はお店によって変わります。ですが、ローカルの人は日本商品を購入するのはまだ多くありません。日本で生活したことがあるベトナム人が、日本商品を購入する場面は見られますが、まだ日本商品の価格には手が出にくい傾向があります。

それでもベトナム人の利用客が多い理由は、圧倒的な品揃えです。ベトナムでは大きなものや種類が豊富というのはジャンル問わず人気です。モールはベトナム人のニーズを叶えてくれる最適の場所となっているようです。

※日系のスーパーマーケットに関する記事は、以下にもまとめています。

4. オンラインショッピング|若者中心に急成長

急成長を遂げるオンラインショッピング市場

ここ数年、ShopeeTikTok Shop などのオンライン購入も急速に広がっています。特に若い世代では、洗剤・ティッシュ・化粧品などの消耗品をアプリでまとめ買いする人が増えています。また、衣服やシューズなどもオンライン購入が目立ちます。

ベトナムは、品質以上に便利さが選ばれやすい社会です。そのため、自宅でスマホ一つで欲しいものが手に入るオンラインショッピングはベトナム人の若者にとって大人気なのです。

※オンラインショッピングに関する記事は、以下にもまとめています。

それでも実店舗が必要な理由

ただし、生鮮食品などの“鮮度が命”の商品は、今のところ実店舗で買う人が圧倒的多数です。物流網は発展していますが、温度管理や配送遅延などの課題が残るため、「生ものは市場かスーパーで」が一般的な考えです。また、家族で外食する文化も根強く、モール内でレストランに入って食事をした後、併設するスーパーマーケットで食品等を買い物するというケースが多いです。

5. まとめ|「どこで買うか」に生活の価値観が出る

ハノイの買い物スタイルは、単なる購買行動ではありません。そこには、“暮らしの哲学”があります。安さを求める人、品質を重視する人、便利さを取る人。どれもその人の「生き方の選択」です。

MISSION.Hとしてこのテーマを取り上げるのは、ベトナム人の消費行動を理解することが、ビジネスの第一歩になると考えるからです。現地のリアルを知ること。それが、本当の意味での「現地理解」となるでしょう。

現地調査でお困りの際は、いつでもご連絡下さい。

その他、ベトナム人の消費に関する記事は、以下をご参考に。