【体験談】ハノイの気候ガイド|現地でわかったリアルな四季
はじめに|日本に似て非なるハノイの気候
クライアントの方からよく聞かれる質問の一つが、「ハノイの気候」です。
- 「ホーチミンは一年中暑いと聞きますが、ハノイはどうですか?」
- 「ハノイの寒さって、実際どのくらいなんですか?」
- 「雨季はありますか? もしあるなら、いつ頃ですか?」
このような”天気に関する疑問”は、実はハノイを訪れる前の方にとってとても大切な情報です。にもかかわらず、ネット上では意外と詳しくまとめられた記事が少なく、現地のリアルな気候感を掴みにくいのが現状です。
実際、ハノイには日本と同じように四季があります。ですが、その変化は似ているようで全く違う独特のリズムを持っています。
そこで今回は、実際にハノイで暮らしてきた体感をもとに、年間を通じた「リアルな気候」をご紹介します。旅行・出張・駐在、どの立場であっても、この記事が少しでもハノイでの生活準備の参考になれば幸いです。
1. ハノイの気候の特徴
データで見るハノイの気候
ハノイは北緯21度付近に位置します。ハノイの気候区分は”Cwa”(湿潤な亜熱帯/冬季に降水が少ない)に分類され、湿潤亜熱帯気候にあたります。また、ハノイは地理的位置から、年間を通じて多様な天候パターンがあるのが特徴的です。一言で表現すれば、冬は寒く雨は少なく、夏は暑く雨が多くなります。
- 冬の平均気温:14.4°C
- 夏の平均気温:35.4°C
- 相対湿度:69%〜80%
- 最小降雨量(2月):7mm
- 最多降雨量(8月):135mm
- 最低日照時間(12月):10.9時間
- 最高日照時間(6月):13.4時間
リアルに感じるハノイの気候
湿度の高いハノイの夏は、じめっとした東南アジア独特の暑さを感じます。特に8月の雨季には、月の半分以上が雨が降り、じめじめした暑さをほぼ毎日感じます。
一方、冬のハノイは、実際に計測される気温よりも寒く感じるのが特徴的です。冬は乾季と呼ばれるものの、雨が降りにくいだけで、湿度は実際には70%前後あります。そのため、冷たいながらもじめっとした感じが残ります。私は普段からバイクに乗ることが多いのですが、冬には手袋が必要です。
まさにこの寒暖差こそ、南部のホーチミンとの大きな違いです。ホーチミンは一年を通して暑いですが、ハノイは日本と同じように寒い季節と暑い季節があるものの、日本の四季とはまた違った四季なのです。
2. 季節ごとのハノイの気候
寒い季節(11月〜3月)―「乾季」なのに湿った寒さ
ハノイの寒い季節(いわゆる冬)は、気候区分上では「乾季」にあたります。そのため、暑い季節(いわゆる夏)のようなスコールや豪雨はほとんどなく、降水量も少なくなります。ただし、「乾季=空気が乾いている」というわけではありません。
実際のハノイの冬は、気温が下がることで相対湿度が高くなります。そのため、前述した通り、霧や小雨が発生しやすい“冷たく湿った寒さ”が特徴です。また、深刻な大気汚染と霧が相まって、空がどんよりと雲がかる毎日が続きます。
気温は平均で15〜18℃前後、日によっては10℃を大きく下回ることもあります。しかし、湿度は70〜80%と高く、体感温度はそれ以上に低く感じられます。
ハノイの寒さ対策
多くの建物には暖房設備がなく、断熱も十分でないため、屋内でも底冷えするような寒さになります。日本の「乾いた冬」とは異なり、「冷たくてじめっとした」寒さが身体にじわりと染みるのがハノイの冬の特徴です。
服装としては、ユニクロのウルトラライトダウンやフリース、ヒートテックなど、軽くて暖かいインナー&防風アウターがあると安心です。また、除湿機や布団乾燥機があると、湿気対策にもなります。
体験談|ハノイの寒い季節に感じること
毎年、11月初旬からハノイは気温が下がり始めます。夜だけでなく昼も体感温度が下がり、日によっては厚手のガウンが必要になる時があります。おそらく湿度の関係かもしれませんが、温度計は18度を指していても、12度程に感じることが多いのが、ハノイの冬の最大なる特徴です。
また、ハノイの寒い時期にはマスクを装着するベトナム人が増えます。理由は霧と大気汚染が混じった白みがかった空がハノイの街中を覆うためです。そのため、バイクに乗る乗らないに関わらず、この季節には常にマスクを装着するようにしてください。

参考:Hanoimoi – Ha Noi mua nho, thoi tiet chuyen ret
暑い季節(5月〜9月)―「蒸し暑さとスコール」の季節
ハノイの暑い季節(いわゆる夏)は、まさに湿潤亜熱帯気候の本領発揮です。6月頃の気温は35℃を超える日も多く、湿度は80%前後です。そのため、外に出ると、まるでサウナのような蒸し暑さに包まれます。
6月から8月にかけては雨季のピークで、午後になると突然のスコールが降ることもしばしば。ただ、雨は長くは続かず、1時間ほどで止むことが多いです。ですが、その後は蒸し暑さが倍増します。
ハノイの夏は非常に暑いですが、それでもハノイ人々は夏も大好きです。なぜなら、この時期は空気が澄んでいて、晴れた日には冬とは違い青空が広がるからです。また、ハノイの蓮の花畑の見頃も6月中旬〜7月中旬で、Ho Tay(西湖)周辺では多くの人がカフェをしながらお花見を楽しみます。

ハノイの暑さ対策
この季節にハノイを訪れる場合は、吸汗速乾素材の服、サンダル、折りたたみ傘が必須です。日本ほど道路の水はけが良いわけではないため、靴だと水に浸かって台無しになりかねません。
また、外出時は帽子やサングラスで日差し対策も忘れずにしておきましょう。冷房の効いたカフェで休憩を取りながら移動するのが、ハノイ流の夏の過ごし方です。
体験談|ハノイの暑い季節に感じること
正直じめじめした暑さは好みません。ですが、澄み渡ったハノイの空一面を覆う青空と、旧市街の黄色がかったコロニアル建築の建物のコントラストは、非常に魅力的で見ているだけで異国感が漂います。
スコールがある日は湿度が大幅に上昇します。そのため、室内では冷房よりも除湿で対応するのがおすすめです。
移行シーズン(4月と10月)―「春と秋」のような季節
皆さんにとって春と言えば何でしょうか?また、秋と言えば何でしょうか?私は、「春=桜」「秋=紅葉」をイメージします。つまり、私にとっては日本を代表するような草木や花といった自然の変化で春と秋を感じます。
ですが、ハノイには「桜や紅葉」といったものがありません。様々なネット情報では、四季があり”春夏秋冬の存在”が書かれていますが、日本のように桜や紅葉で季節を感じることはありません。ですが、ハノイには4月と10月という“季節のあわい”があり、冬と夏、夏と冬をつなぐ穏やかな時間が流れているのは事実です。
4月のハノイ
空気が少し湿っぽくなり、徐々に蒸し暖かくなるシーズンです。夏まで暑くはないものの、木々は青々としはじめ、雨が増えて夏の訪れを告げるような感覚です。日本人からすると、「春の柔らかさ」というより「初夏の兆し」という感じに近いかもしれません。
10月のハノイ
蒸し暑さが和らぎ、空気がカラッとして、最も過ごしやすいシーズンです。青空が広がり、雨もそれほど多くなく、街歩きに最も適した季節と言えます。日本人からすると、「秋の深まり」ではなく「涼しさの始まり」という印象がぴったりです。

3. 気候との付き合い方|現地ハノイ人の知恵
ハノイで生活して感じるのは、気候が人の行動リズムを変えるということです。ビジネスにおいても、私生活においても、「価値観・考え方・行動」は日本人ハノイ人とでは、異なる部分が多いです。
特に感じることは、気候という環境が彼らの行動リズムを変えているように思えます。例えば、「時間に遅れることへの感覚・雨による急な予定変更・臨機応変なその場の対応」といったハノイ人ならではの共通した部分は、もしかすると気候によるものなのかもしれません。
ですが、ハノイで日々を過ごしていると、その行動が意外にも理にかなっているなと感じることもあります。気候という環境に抗うのではなく、順応することがハノイでの生活のコツ、そしてハノイの人々との付き合い方なのかもしれません。

おわりに|ハノイの気候を知ることは、ハノイを理解する第一歩
ハノイの気候は、単なる「天気情報」ではなく、人の生活や文化そのものに影響を与える存在だと感じます。
冬の曇り空に人々が家族で鍋を囲み、夏のスコールの後には屋台に人が集まる。そんな季節の風景がハノイにはあります。
ハノイに来る前に、気候を知ること。それは「この街で生きる準備」をすることでもあります。
もしこの記事が、あなたのハノイ生活を少しでも快適にするヒントになれば嬉しいです。
これからハノイ進出やハノイ移住、ハノイ出張やハノイ観光を検討されている方で、ハノイの情報が必要でお困りの場合には、いつでもご連絡下さい。