【ベトナム進出/移住】駐在員が陥りやすい生活トラブル5選
はじめに
初めてのベトナム駐在。「気候・文化・人々」は温かくも魅力的。ですが、一方で日本とはまったく異なる生活習慣や制度が待っています。実際に私の知り合いの駐在員も「想定外のトラブル」に直面することがあります。私も初めてハノイに来た時は、様々なトラブルに直面しました。
本記事では、MISSION.Hが現地調査で得たリアルな事例や私の体験談も交え、駐在員が陥りやすい代表的な生活トラブルを5つ紹介します。
1. 住居トラブル|契約・修理・近隣問題
駐在生活の第一歩は「住まい選び」から始まります。しかし、ベトナムでは住宅契約の慣習やトラブル対応の仕組みが日本とは異なります。そのため、ここでつまずく駐在員が少なくありません。
例えば、内見は多くの場合、前に住居している人がいる状態で行われたり、契約書が英語とベトナム語で書かれており、ページ数が多いため、重要な部分が曖昧な解釈で進んでしまったりなど、日本とは注意すべきポイントも異なります。
さらに、入居後には次のようなトラブルが発生することもあります。
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エアコン・給湯器・洗濯機などの故障時に、オーナー対応が遅い。
「来週見に行く」と言われたまま、数日間放置されることも珍しくありません。 -
近隣住民の騒音や違法民泊問題
夜中までパーティーが続き、騒音に悩んだり、Airbnb利用者の出入りが多いなども。
私の体験談と対策
私は幸いにも住居面でのトラブルはあまりありませんでした。ですが、エアコンから水漏れがあったり、備え付けの洗濯機が止まって動かなかったりといった日常的なトラブルはありました。
対策としては、アパートの警備員と仲良くなっておくことです。警備員とは関係が良く、Zalo(LINEのようなもの)を交換し、日頃から会話をすることが多かったです。すると、何か合ったときに彼に連絡すれば、すぐに対応してくれるように。日頃から近くにいる人と仲良くなってすぐに相談できる関係を作っておくと良いでしょう。
2. 健康トラブル|食中毒・空気汚染・医療の違い
ベトナム駐在でしばしば耳にするのが、「体調を崩した」という声です。現地の食文化、衛生環境、気候変化など、日本とは異なる要因が重なり、食中毒・腹痛・アレルギー・皮膚トラブルなどがあります。
特に駐在直後の数か月間は、「ローカル料理でお腹を壊した」「気候のせいで眠れない」「水が合わない」といった不調を訴える人が見られます。
食中毒・衛生面のリスク
ベトナムの食文化は魅力的ですが、衛生管理は日本ほど徹底されていません。
屋台やローカル食堂では、
- 生野菜が未洗浄のまま提供される。
- 氷が製氷工場ではなく路上販売の氷である。
- 食器の洗浄が不十分な場合がある。
といったケースもあり、これが腹痛・嘔吐・感染症の原因となることがあります。
また、ベトナムでは「水道水=飲用不可」です。歯磨きや料理に使用する水も、できるだけ浄水器やペットボトル水を使うことが過敏な方にとっては望ましいです。
大気汚染・気候・環境ストレス
特にハノイでは、冬季にPM2.5などの大気汚染が深刻化します。AQI(空気質指数)が200以上(非常に悪い)となる日もあり、慢性的な咳や喉の痛み、肌荒れ、疲労感を訴える駐在員も少なくありません。
加えて、ベトナム特有の高温多湿の気候や交通渋滞によるストレスも、体調不良の一因となります。朝夕の通勤渋滞では、排気ガスの中で1時間以上過ごすこともあり、長期的には体への負担が蓄積します。
医療の違いと“いざという時”の対応
ベトナムの医療機関は、公立と私立で大きな差があります。公立病院は医療レベルは悪くないものの、英語も日本語も通じず、待ち時間が非常に長いのが現実。
一方で、外国人向けの私立クリニック(Raffles や Vinmec など)は、英語・日本語対応スタッフが常駐し、清潔で安心感があります。ただし、診療費は高額(日本の自由診療レベル)のため、企業の保険や個人の海外旅行保険でキャッシュレス対応が可能かを必ず確認しておくことが重要です。
3. 交通トラブル|バイク社会の“常識”に要注意
ベトナムを訪れた駐在員がまず驚くのが、圧倒的なバイクの数とその運転マナーです。道路の大半はバイクで埋まり、信号無視・逆走・歩道走行が日常的に見られます。特にハノイの中心部では、これらの違反行為は日常茶飯事です。
そんな中で日本人駐在員が陥りやすいのが、交通事故やトラブル時の対応ミスです。軽微な接触でも、外国人であるがゆえに「過失が大きい」と見なされるケースがあります。現場で感情的にならず、冷静に第三者(保険会社や現地サポート)を介することが重要です。
また、意外な落とし穴が「Grab(配車アプリ)」利用時のトラブル。ドライバーが目的地を誤解したり、乗車前にキャンセル料を請求されるケースもあります。
駐在員の実際と私の体験談
これらのトラブルを避けるために、大手企業の駐在員はバイクや車の運転を許可されていないことが多いです。Grab等の配車アプリのみを利用することが推奨されていたりします。
私の場合、ハノイに来た当初から自分の運転でバイク移動が多かったため慣れましたが、日本のように過度に慎重になってはいけません。日本だと軽い接触でも警察対応になりますが、ベトナムでは「ごめんね」で終わる社会です。慣れが必要ですが、日本とベトナムとでは気に掛けるポイントも異なる点に留意しましょう。
4. 職場・人間関係トラブル|異文化の壁
ベトナム駐在員の多くが「最も精神的に消耗する」と語るのが、人間関係トラブルです。生活環境の違いよりも、職場内での価値観・仕事観のギャップが原因でストレスを抱えるケースが非常に多いのが現実です。
例えば、
- 「報連相(報告・連絡・相談)」が途中で止まり、確認ミスが頻発する。
- 会議に時間通りに集まらない、ドタキャンが当たり前。
- 指示をしても「できません」と言わず、結局放置されていた。
- 日本人上司が感情的に注意し、チーム全体の雰囲気が悪化。
こうしたトラブルの背景には、文化と価値観の違いがあります。
ベトナム人は、プライドが高く人前で指摘されたり、自分ができないといったレッテルを貼られることに嫌悪します。そのため、日本人のように謝ることを美徳とは思いませんし、「できない」といった回答よりも放置を選びます。結果として、指示があっても「理解していないまま進める」「期限を過ぎても報告しない」などのすれ違いにも発展します。
また、日本人側にも「日本の常識が通じる」という前提意識があり、厳しく注意してしまったり、逆に諦めて放任してしまうことも。結果として、双方が距離を取り、信頼関係が築けないという悪循環に陥ります。
私の体験談と対策
一番違いを感じたのは「時間感覚」です。日本人は「5分前行動」や「時間通り」が当たり前。ですが、ベトナムでは「遅れて当たり前」なくらい「時間感覚」にずれがあります。日本ではある程度のことが計画通りに行くことが、ベトナムでは計画通りに全くいかないのはこういったことが根幹にあります。
もし、相手に何が何でも時間を守ってもらいたいと考える場合、一つ一つに感情的にはならず、就業規則などのルール化を行い、厳格に処理することが大切です。「なぜ時間を守ることが大切なのか?」を説いても、育った文化が違う以上は理解ができませんし、理解しようともしません。そのため、会社のルールとして決め、ルール違反かどうかで判断し面談を繰り返す、または適切に処罰すると言った方法が良いでしょう。他方、「郷に入っては郷に従え」で時間感覚の違いを受け入れるのも一つです。
5. トラブル対応時の「言語の壁」
ベトナム生活で起こるあらゆるトラブルの“本当の難関”は、実は言語の壁です。軽い故障や買い物の場面なら翻訳アプリで何とかなりますが、契約・医療・警察などの「いざ」という局面では、英語すら通じないことばかりです。
例えば、
- 病院で「点滴の内容がわからない」「薬の副作用が説明されない」
- 事故の現場で、警察官がベトナム語で相手側だけと話している
こうした場面で誤解が生じると、「誤診される/加害者扱いされる」などの事態に発展することもあります。つまり「言葉が通じない=自分の意思が守れない」ということです。
私の体験談
私も来た頃は言語が全くわからず、Google翻訳を使っても全く相手に理解されないことも多かったです。通訳をつけたとしても「伝えたいことをちゃんと伝えてくれているのかがわからない」といったこともありました。
まずは拙い言葉であってもベトナム語を積極的に話すことです。様々なシチュエーションで徐々に言っていることが理解できるようになります。相手も外国人だとわかれば、一生懸命に話しを聞こうとしてくれます。少しずつでもベトナム語に慣れることが大切です。
また、Google翻訳は日本語とベトナム語の互換性が良くないです。そのため、翻訳を使う場合にはAI翻訳を使って下さい。こちらも使えば使うほど、ベトナム語を少しずつでも覚えるきっかけになります。
おわりに:トラブルを知ることが最大の防御
ベトナム駐在は、挑戦であり、学びの連続です。ただし、「知らなかった」が原因のトラブルは、事前に防ぐことができます。
MISSION.Hでは、現地調査を中心に、ベトナムで生きる日本人をサポートしています。ベトナム現地でお困りの際には、いつでもご連絡下さい。
その他、ベトナム現地生活に関する記事は以下を参考に。