【体験談】ハノイの散髪事情|物価・サービス・日本との違い
はじめに
ベトナム・ハノイに住み始めてまず驚いたのは、「散髪」の価格とサービス内容の幅広さでした。日本でも美容室と1,000円カットのような格安理容室では料金が大きく異なりますが、それはハノイでも同じ。ただしハノイの場合、 外国人向けの美容院 からローカルのストリートカットまで、選択肢の幅が日本以上に広いのが特徴です。
私は日本にいた頃、引っ越すことや出張が多く、行きつけの美容院がありませんでした。営業職の時には身なりを整えるため美容室へ、普段は1,000円カットを利用する、そんな感じでした。そんな私がハノイに移住して実際に複数の美容院・床屋・ストリートカットを体験してみると、価格だけでなく「サービスの在り方」もまったく違うことに気づきました。
この記事では、私自身の体験をもとに、
- ハノイの散髪にかかる料金(物価)
- 美容院・床屋・ストリートカットの違い
- 日本とのサービスの差
- 住んでからわかったリアルな注意点
などを、実体験ベースで解説します。「ハノイでの生活コスト」や「ローカルサービスの利用」を知りたい方、「ハノイ進出を検討していて価格をどうやって決めるか」が定まらない方にとって、実用的な内容になるはずです。
ハノイで散髪|価格帯とサービス内容の違い
日本と比べると、ハノイの散髪料金にはかなり幅広い価格帯があります。大きく分けると、以下の5つのタイプに分類されます。
- ストリートカット
- ローカル個人店
- ローカルチェーン店
- 外国人向けのハイエンド店
- 日系店
①ストリートカット
ハノイの街を歩いていると、道端に椅子と鏡だけを置いた「ストリートカット」をよく見かけます。エリアとしてはホアンキエムやハイバーチュンに多いです。価格は約40,000VND(約240円)と安価です。
シャンプーやスタイリングなどのサービスはなく、基本的に「カットのみ」です。15分ほどで終わるため、時間をかけずにサッと整えたい人に人気です。女性客はほとんどおらず男性客が中心で、ベトナム人ローカルの利用がほとんどです。
②ローカル個人店
ハノイで最も多いのがローカル個人店です。目立つ場所だけでなく、路地裏に入った奥まった場所でもお店があります。価格は約60,000VND(約360円) と安価です。
サービス内容はお店によって差がありますが、多くの場合にシャンプーは別料金(約20,000VND)でやってもらえます。カットもこだわってやってくれるお店もありますが、個人店のため差が大きいのが特徴です。カットの後は掃除機のようなもので頭を撫でられます。
③ローカルチェーン店
ハノイにはブランド展開しているローカルチェーン店があります。価格は約150,000VND(約900円)と個人店と比較すると少し値段が上がります。
例えば、”Đông Tây Barbershop“などが有名です。このお店は男性向けですが、チェーンだけあってカット技術も平均的に高く、店内の装飾もこだわりが見られます。基本的に、料金内に「カット・シャンプー・スタイリング」もついているため、日本でいうところの美容院に近い感覚です。
④外国人向けのハイエンド店
外国人向けにカットサービスを展開するお店もあります。場所は外国人が多いエリア、つまりタイホー、バーディン、コウザイに多いです。価格は、200,000VND(約1,200円)〜とお店により差があり、ローカルチェーン店よりベースは高くなります。
英語でのカウンセリング、丁寧なシャンプー・カット・スタイリング、時にはトリートメントも含まれている場合があります。具体的には、”Omnia Hair Boutique” や “MAIKA Hair Salon” などがあります。一般的に女性が行く美容室としては、価格もこのあたりの美容室からになります。
⑤日系店
ハノイの日本人が多く住むエリア(バーディンやタイホー)では、完全に日本人を対象とした美容室もあります。価格は、約700,000VND(約4,200円)〜とハノイでは高く、日本とほぼ同じ価格です。
具体的には、”Step” や “Hair Salon Kiki” などがあります。日本人のスタイリストが直接担当することが多く、完全日本語で接客を受けることができます。そのため、日本と全く同じようなサービスをハノイで受けることが可能です。
このように、ハノイでは価格帯によってサービス内容が大きく変わるのが特徴です。ローカル価格なら気軽にカットできますし、外国人向けサロンなら安心感やクオリティが得られます。滞在スタイルや予算に合わせて選びやすいのがハノイの魅力といえるでしょう。
散髪体験談|メンズ向けで価格重視ならここがおすすめ
私がよく行くのが、”C1990 barber shop” です。前述した分類だと、②に該当します。場所はホアンキエムの旧市街の中にあります。客層は欧米人とベトナム人がほとんど。日本人を見かけたことはありません。カットがとても丁寧で、希望のヘアスタイルを写真で見せたらそれに近しい感じでカットをしてもらえます。
髪型にこだわりのある方にはおすすめできませんが、コストを抑えてさっぱりカットしてほしいと考えている男性にはとてもおすすめです。ベトナム人の方が一人で運営しており、英語も少しだけですが通じます。価格は60,000VNDと安価です。
感覚としては日本で言うところの1,000円カットに近いです。旧市街エリアは比較的物価が高くなりますが、この価格でやってくれるのでベトナム人からも人気があります。
散髪料金で見る|日本とハノイの物価の差
今までの内容から、ハノイの物価と日本の物価を比較すると次のようなことがわかります。
- ハノイのローカル個人店 = 日本の約3〜4分の1(いわゆる1,000円カットと比較)
- ハノイの日系美容室= 日本と同額または少し高い
これは、散髪、つまり床屋や美容室に限ったことではありません。ハノイの物価は大体このような価格設定になっています。このように、ある事象から全体を推し測る帰納法は、市場調査の中でも使うことができます。
もちろん個別に見れば誤差はあります。(例えば、牛乳やチーズは日本よりもベトナムの方が高い場合が多いなど。)ですが、大まかな検討をつける場合には、このような方法を使えば、全体が見えてくるものです。
おわりに
今回は、ハノイの散髪事情を通して、日本とハノイの物価差とサービス構造を具体的に紹介しました。
ローカルのストリートカットから外国人向け・日系サロンまで、価格帯によって体験できるサービスの質が大きく変わるのがハノイの特徴です。この「価格差」は、単に美容室の話にとどまりません。
現地の生活コストやローカル市場の価格構造を把握することで、ビジネスの価格戦略やターゲット設定のヒントにもなります。市場調査の手法のひとつに、「あるひとつの領域から全体像を推測する」という帰納的アプローチがあります。今回のように散髪料金を切り口にすることで、生活コストや購買層、外国人とローカルの価格感覚の差をつかむことができるのです。
ベトナムで事業を展開するうえで、現地の価格感覚を理解することは非常に重要です。もし、「現地感覚がなかなかつかめない」「価格設定に悩んでいる」という場合は、私たちが行っている現地調査を活用することで、精度の高いマーケティング戦略を立てることが可能です。
ベトナムでの生活・ビジネスで困ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。
なお、ハノイやベトナムの物価等に関する記事は、以下もご参考に。
『【現地情報】ハノイのリアル物価|5,000VND(30円)の重み』
『【現地情報】ハノイの市場の月額賃料』
『【現地情報】2025年版:ベトナムの最低賃金とハノイの実態』