【現地情報】ベトナムの祝日と祝祭|生活・ビジネスの必須知識
はじめに
ベトナムの祝日や祝祭は、日本と比べて生活やビジネスに大きな影響を与えます。日本では、祝日が明ければすぐに社会全体が仕事モードに戻ります。ですが、ベトナムではそうはいきません。
例えば、テト(旧正月)の休暇後も多くの人がスローな生活を続け、社会全体の動きがしばらく鈍いのが常です。特に富裕層では「2月いっぱいは海外旅行」というケースも珍しくなく、公務員の業務再開もゆるやかで、レスポンスが大幅に遅れることもあります。こうした祝日の慣習は、生活だけでなくビジネスにも直結します。
そこで本記事では、2026年のベトナム祝日・祝祭スケジュール(予定)を整理しつつ、生活面とビジネス面で知っておくべき注意点をまとめます。これを理解しておくことで、無駄な出費を防ぎ、計画的に活動を進めることができます。
2026年 ベトナムの祝日・祝祭(正式・予測含む)
以下は、複数の現地情報ソースをもとにリスト化した2026年の主な祝日と祝祭です。
主な公定休日(全国一律)
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1月1日(木):元日
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2月16日(月)~2月20日(金):テト(旧正月)
※ちなみにテト前には、「13ヶ月ボーナス」と呼ばれる年間賞与が現地の慣習。 -
4月26日(日):フン王記念日
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4月27日(月):フンキング記念日の振替休日
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4月30日(木):解放記念日
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5月1日(金):メーデー
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9月2日(水):国慶節(建国/独立記念日)
注意点
- テト休暇は数日間連続で設定されることが一般的です。政府発表によって長さが変動することがあります。
- フン王記念日は、元は陰暦で定められており、翌日を代休とする場合が多いです。
- 他の祝祭(例:中秋節や五月の仏誕など)は祝日ではないものの、文化的影響が強く生活リズムに影響します。
祝日が日常とビジネスに与える影響
テト後のスロースタート
ベトナム最大の祝祭であるテト(旧正月)は、家族や親戚と過ごすために人々が一斉に帰省・旅行する特別な時期です。連休そのものが長いだけでなく、その後もしばらく「休暇モード」が続きます。
実際、テト明けの週に会社へ出勤しても、従業員の頭の中はまだ正月気分。富裕層や一部のビジネスマンは「2月いっぱいは海外旅行」というケースも珍しくありません。
そのため、業務の本格的な再開には1週間以上かかることが多く、役所も同じようにレスポンスが遅れます。通常なら即日〜数日で返ってくるような申請や手続きが、全く進展しないケースは珍しくありません。
このような文化背景を理解しておかないと、「なぜ返事が来ないのか?」と焦ってしまいますが、これは現地では“普通”の光景です。
集客・広告のタイミングには注意
ベトナムではFacebookやZaloを中心としたSNS利用が盛んで、デジタルマーケティングはビジネスに欠かせない手段です。しかし、祝日や連休(特にテトや国慶節)の前後は、ユーザーの関心が一気に「仕事や買い物」から離れます。人々は家族と過ごしたり旅行へ行ったりしており、スマホは使っていても広告やプロモーションには目を向けません。
そのため、祝日中や直後の広告出稿はほぼ無意味と考えるべきです。実際に、連休明け数日は問い合わせやクリック数が極端に落ち込み、広告費の無駄遣いにつながることが多いです。むしろ、
- 祝日直前にキャンペーンを打って「連休中に使える商品・サービス」を訴求する
- 祝日から1〜2週間後、生活が通常モードに戻ったタイミングで広告を再開する
といった戦略の方が効果的です。
さらなる祝祭と文化背景
ベトナムには「法定祝日」以外にも、社会や文化に大きな意味を持つ祝祭や記念日があります。これらは生活習慣や人間関係の形成に深く関わっています。そのため、理解しておくと現地での交流やビジネス展開において非常に役立ちます。
中秋節
- 時期
旧暦8月15日(2026年は9月下旬予定) - 特徴
子どものためのお祭りで「子どもの日」のような位置づけ。家族は子どもにお菓子やおもちゃを贈り、月餅(bánh trung thu)を親戚や取引先に配るのが一般的。 - ビジネスへの影響
贈答用月餅の需要が増え、菓子メーカーやホテルが積極的に限定パッケージを販売。企業間のギフト需要も多く、日本の「お中元」に近い役割を果たす。
端午節
- 時期
旧暦5月5日(2026年は6月中旬予定) - 特徴
病や邪気を払う意味を持ち、昔から「体内の毒を消す日」とされている。朝から発酵もち米や果物を食べる習慣があり、庶民的な文化行事として根付いている。 - 生活の側面
大きな休みにはならないものの、食文化や健康への考え方を垣間見られる。
国際女性デーとベトナム女性デー
- 時期
国際 ⇒ 3月8日/ベトナム ⇒ 10月20日 - 特徴
ベトナムでは女性を敬う文化が強く、年に2度「女性の日」が祝われる。職場や家庭では、男性が女性に花やプレゼントを贈るのが習慣。学校では生徒が先生に花を渡す光景もよく見られる。 - ビジネスの観点
花屋・化粧品・飲食業界にとって大きな商機。女性向けキャンペーンや特典が多く打ち出され、レストランは予約でいっぱいになることも珍しくない。 - 生活の観点
日本で言う「バレンタインデー」や「母の日」と似た雰囲気がある。現地の人との交流では覚えておくべき必須の日。
このように、法定祝日だけでなく文化的行事や記念日も社会に浸透しています。そして、それらは、「生活感情・消費行動・ビジネス習慣」に強く影響します。特に贈答や接待に関する需要は見逃せないポイントです。
おわりに
日本のように、祝日後に即社会復帰はなく、ベトナムでは「休みの余韻が続く」文化が根付いています。この感覚の違いを理解せず行動すると、ビジネス機会を逃したり、資金を無駄にしたりというリスクがあります。
生活者なら「今日スーパーや銀行がやっているのか?」、法人なら「物流・マーケティング・人事の予定がどう影響されるのか?」を押さえることが重要です。そのため、祝日カレンダーの確認と業務スケジュールへの反映は、ベトナムでの成功に不可欠となるのです。