
【現地情報】ベトナム進出と合弁のメリット・デメリット
はじめに
ベトナム進出を検討する日本企業の中には、ローカル企業との合弁(Joint Venture) を選択肢に入れるケースが増えています。合弁は「現地のネットワークを活用できる」という大きな魅力があります。しかし、その一方で「経営方針の違いや法制度リスク」に直面することも少なくありません。
今回は、ベトナムでローカル企業と合弁する際の基本的なメリットとデメリットを解説します。
ベトナム進出で合弁を選ぶメリット
日本企業が合弁を選択肢に入れるのは、メリットがあるためです。
1. 現地ネットワークの活用
ベトナムでは行政手続きや取引先との関係構築に時間がかかるケースが多いです。しかし、ローカル企業と組むことで既存のネットワークを活用できます。つまり、法人設立スピードを早めることができたり、認知活動や集客を比較的容易にすることができます。
2. コスト削減
工場用地や人材採用をゼロから始めるより、合弁相手のリソースを使えることができます。そのため、初期コストを比較的に抑えることができます。
3. 市場へのスピード参入
市場情報・顧客基盤を持つ現地企業と組むことで、進出後すぐにビジネス展開が可能になります。ベトナムでは後から追加で様々なことを要求されるパターンもあるため、そういった部分が大幅に解消されます。
ベトナム進出で合弁する際のデメリット
メリットがあれば、同時にデメリットも存在します。
1. 経営方針の違い
日本企業は「長期的視点・プロセス重視」、ベトナム企業は「短期的利益・柔軟性重視」となることが多いです。そのため、意思決定で摩擦が生じやすいです。
2. 情報の非対称性
財務状況や契約条件が十分に開示されないケースがあります。その場合、パートナー選びを誤ると大きな損失につながります。
3. 法制度リスク
ベトナムでは外資規制が業種によって異なり、出資比率が制限される場合があります。そのため、合弁を選んでも、必ずしも自由に経営できるわけではない点に注意が必要です。
4. 知的財産やブランドのリスク
合弁先を通じて情報や技術が流出するケースがあります。そのため、契約時に知的財産権・商標の取り扱いを契約書内で明確にしておく必要があります。
デメリットを最小化するためのポイント
- 事前調査を徹底する
財務状況・取引実績・ビジネス実態状況を確認するといったDDを行うことが大切です。現地調査なしでの合弁は非常に危険です。 - なるべく細部まで及ぶ契約書を作成
ベトナムは契約書文化です。後から問題が発生しないためにも、なるべく起こり得る事態を想定した契約書を作成しておきましょう。また、ベトナム語・英語・日本語を併記し、弁護士を通して精査することが大切です。 - 出口戦略をあらかじめ決めておく
どちらかが撤退する場合の株式売却条件などを契約段階で取り決めておくことが重要です。新規事業においても撤退ラインを策定するかと思いますが、合弁の場合も同様です。
おわりに
ローカル企業との合弁は、スピード・コスト・ネットワークという点で非常に大きなリターンがあります。しかしその反面、経営方針の違いや法制度リスクなどのデメリットも存在します。
合弁は「うまくいけば大きな成果が出る」一方で、「準備不足なら大きな失敗につながる」両刃のだと言えるでしょう。
合弁を検討する際は、必ず事前に現地情報を確認することをおすすめします。
その他、ベトナムの外資規制やDDに関する記事は以下をご参考にしてください。