【ベトナム進出/移住】リアル失敗談5選と学んだ教訓

【ベトナム進出/移住】リアル失敗談5選と学んだ教訓

ベトナムは経済成長を続け、日本人にとって進出や移住のチャンスが広がっています。ところが実際には「思った通りにいかない」「早期撤退を余儀なくされる」といった失敗も少なくありません

ハノイの日本人街を歩けば、1年で店舗が何度も入れ替わっている光景が目に入ります。私自身、駐在員としてハノイ支社を任された際に、撤退を経験しました。

そこで今回は、私が実体験から学んだ”5つの失敗パターン”と”教訓”をご紹介します。どれも現地で実際に直面したリアルなケースです。これらを知っておくだけで、同じ轍を踏まずに済むはずです。

1. 市場調査不足 ― ネット情報だけで判断

海外進出は「勝負」に似ています。武力を使った大航海時代の侵略とは違いますが、本質的には「自社の商品やサービスを他国に届け、利益を得る挑戦」です。そして、その勝負の 8割は情報で決まる と言っても過言ではありません。

実際、林修氏も「負けた人には共通点がある。それは情報不足だ」と述べています。まさにその通りで、特にベトナムのような新興国では、公的データも不完全で、ネット情報だけでは現実を正確に把握できません。需要を誤解したまま進出すれば、失敗のリスクは極めて高いのです。

いかに「リアルな情報」を入手し、そこから「仮説、戦略をどう構築するか」が海外商戦の勝負の行方を左右します。

教訓:必ず現地調査を行い、消費者行動や競合の実態を把握すること。

2. 原則はマーケットイン ― 画期的ならプロダクトアウト

特に中小企業の場合、「早く成果を出さなければ」という焦りがあります。しかし、早期に結果を出そうとする姿勢こそが、失敗の原因になることが多いのです。海外進出は、往々にして産みの苦しみを経てこそ本当の成果が得られるもの。ただし、限られた予算の中で戦わなければならないのも事実です。

だからこそ、「新たに需要を生み出そう」とするよりも、現地市場にすでに存在する需要に合わせたサービスや製品を提供する方が、成功確率は格段に上がります。中途半端なプロダクトアウトは、典型的な失敗パターンです。

そのため、マーケットインを軸にしつつ、差別化をどこで見せるかを意識すべきです。

教訓: iPhoneのような革新的な例外を除き、原則は「マーケットイン」の発想。

3. タイミング ― 少し早いが成功の鍵

市場参入のタイミングは、成功か失敗かを大きく左右する要因です。

もしも参入が早すぎれば、市場が育つ前に資金が尽き、撤退を余儀なくされます。大企業のように街全体を変えるほどの巨大プロジェクトなら話は別ですが、多くの場合はそうではありません。小さな企業が市場が成熟するまで耐え抜くのは現実的に難しいのです。

一方で、参入が遅すぎれば競合がすでに盤石で、シェアを奪うのは至難の業。特にハノイでは「老舗好き」の文化があり、後発での参入は広告費を積んでも浸透せず、価格競争に巻き込まれやすいという不利な状況に立たされます。

理想は、競合がゼロではないもののまだ少なく、市場の成長も見込める「少し早い」タイミングでの参入です。そうすれば、ブランドを築きながら市場の拡大とともに成長していくことができます。

教訓:「少し早い」がベストな市場参入のタイミング。

4. ブランディング ― なぜそこで働くのか?

日本では「一つの会社に長く勤める」ことが美徳とされますが、これは独特の社会現象です。海外では転職や失敗の多さは経験の豊かさとみなされ、挑戦の証とすら評価されます。ベトナムも例外ではなく、離職は日常的で「指示された以上のことはしない」スタンスが一般的です。

しかし、どの国でも変わらないのは企業の力は「人」によって動くという真理です。そのため、単なる仕組みづくり以上に、人材を惹きつけ、育成し、定着させるための工夫が不可欠になります。

ここで重要になるのが ブランディング です。特にベトナム人にとって「日系企業で働くこと」は一つのステータスです。ただし、それだけでは不十分です。社員が誇りを持って「私はなぜこの会社で働いているのか?」と胸を張れるようにする。つまり、インナーブランディング が成功のカギとなります。

もう一度、経営者として問いかけてください。「なぜ、私はこのブランドで海外進出をするのか?」
従業員は必ずその答えを見ています。

教訓:企業のエンジンとなるブランディングを強化せよ。

5. 市場原理 ― 何が売れるのか?

日本では「高品質」「高付加サービス」が長らく競争力の源泉でした。「いかに良いものを安く提供するか」は、日本社会全体が共有してきた美徳です。その結果、消費者は高水準の商品やサービスを比較的安価に享受できました。

ところが海外に出てみると、状況は異なります。例えばベトナムにはヨーロッパ・欧米・韓国・を含む多様な製品やサービスが溢れています。その中で日本製品は「高い」という印象を持たれがちです。実際に生活者の立場に立つと、「そこまでの品質は要らないから、もう少し安い方がありがたい」という声が聞こえてきます。また、中国製品をはじめ、海外製品の品質は随分と向上しているのが実情です。

特にベトナムの一般層においては、「便利で、安くて、早い」ものほどよく売れるというシンプルな市場原理が強く働いています。確かに富裕層や一部の層は品質を重視します。ですが、それは例外に過ぎません。多くの消費者は、品質よりも生活に直結する利便性を求めているのです。

教訓:市場が求めているものと日本での感覚のズレを認識せよ。

まとめ ― 経験から学び、失敗を避ける

結論、ベトナム進出で失敗する原因は、「情報不足」と「思い込み」に集約されます。私がまとめた今回の”5選”を、あなたのベトナム進出ビジネスに活かせていただければ幸いです。

また、以下のブログでもベトナム進出に役立つ記事を”リアル体験ベース”にまとめています。

これらの記事も参考にお読み下さい。

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