【現地情報】ベトナム市場|デジタル消費と日本の購買行動の差

【現地情報】ベトナム市場|デジタル消費と日本の購買行動の差

ベトナム人と日本人の行動には、様々な点で違いがあります。特に顕著なのは、SNSとネットショッピング。例えば、日本人の場合、SNSはInstagramとLINE、ネットショッピングはAmazonが主力。

しかし、ベトナム人の場合、SNSはFacebookとZalo、ネットショッピングはShopeeとTikTokが主力。また、「VIETJO」の記事でもベトナム人の消費行動の特徴が語られていました。

今回は、私のベトナムのリアル体験も交えつつ、ベトナムの消費社会を解説します。

モバイル主導|情報収集と消費の即応性

ベトナムでは、スマホとインターネットの普及が進んでいます。そして、モバイルを起点とした消費行動が一般化しています。2024年時点でスマートフォン所有率は98%に到達。そして、デジタル経済規模は360億USD(約8%のGDP)にまで拡大しています。

日本以上にスマホを利用する率が高く、銀行口座もスマホで管理するのが当たり前です。その影響からキャッシュレス決済も随分と進んでいます。

ベトナムのECチャネル

ベトナムのEコマース売上は、2023年から2024年にかけて前年比43%増急成長。実際に、小売売上高全体の11%を占めています。また面白いことに、ベトナムで主に利用されるECは日本にないものばかりです。

具体的には、

  • Shopee
  • TikTok
  • Lazada
  • Facebook
  • Tiki

などが人気のECチャネルとして挙げられます。

日本で頻繁に利用されるAmazonはベトナムでは導入されていません。「TikTokがEC?」と思いますよね?事実、TikTokのショッピング機能は2022年からローンチ。日本よりも早くからショッピング機能が導入されています。

日本の場合、TikTokの主な利用者層は、10代〜20代の若者層です。しかし、ベトナムでは若者層に限らず、多くの世代で使用されています。ベトナムでTikTokを開くと、ライブで商品販売が頻繁に行われており、日本のそれとは光景が違います。

参考:Cimigo|Vietnam consumer trends 2025
参考:VIETJO

購買時に出品者と頻繁にやり取り

統計によると、ベトナムではショッピングシーズンに買い物客の87%が「メタのメッセージアプリ」を利用。同時に、成人ユーザーの74%が「企業とテキストメッセージで連絡を取りたい」と回答しました。

この統計が的確だと感じるのは、実際にベトナム人の行動を見ればわかります。私の友人も頻繁に、ShopeeとFacebookで買い物をします。購入する前に、必ずと言って良いほど出品者とメッセージでやり取りを交わします。

どんなやり取りをするかと言えば、

  • 「この商品の実物写真はありますか?」
  • 「この商品に似たもので他の色や形はありますか?」
  • 「(企業として購入する場合)インボイスは発行できますか?」
  • 「◯個買ったら安くなりますか?」
  • 「◯曜日と◯曜日なら受け取れるので、その日着でなるべく送ってくれますか?」

と言った具合です。今回の統計ではメタのメッセージのことが書かれていますが、メタに限らず、Zaloでやり取りしたり、Shopee内のメッセージ機能でやり取りすることもあります。購入決定前にコミュニケーションを取るというのも日本との違いです。

ベトナムと日本との違い

私の経験やデータを元に整理すると、以下のように整理できます。

  • 情報取得/判断速度
    ベトナム:検索中心、即決型が多数
    日本: 比較検討に時間を要する傾向
  • チャネル
    ベトナム:モバイル主導/多チャネル利用
    日本:実店舗やメディア中心/チャネル分散
  • 文化/心理背景
    ベトナム:家族/体面/ブランド志向が色濃い
    日本:個人志向/機能重視/静的な比較志向
  • 消費基準
    ベトナム: 価格+価値+体験を重視
    日本:安全性・品質・レビュー重視傾向

明らかにわかりやすいのが、「即決」が多いことです。 ベトナムの場合、日本ほど比較検討する人は少なく、「買うなら買う、買わないなら買わない」がわかりやすいと言えます。

おわりに

ベトナムの日系法人も以下のような対応をするところが増えています。

  1. モバイルとECを軸とした迅速な情報配信戦略
    検索エンジン起点の施策と、即レス対応(メッセンジャー/チャット)を整備。

  2. 体験・ブランド価値を前面化
    購入を促すために、クオリティ・ブランド体験をビジュアル・ストーリーで訴求。

  3. 文化的価値観に根ざした販売戦略を考慮
    贈答や見栄を意識させるパッケージ・プロモーションへの工夫。

日本とフィールドが異なるベトナム、実際にベトナム人の集客に苦戦する日系企業も多いのが実状です。

現在、MISSION.Hでは、市場調査からベトナム人集客に向けたマーケティング戦略の立案と伴走サービスも行っております。ご希望やご相談があれば、お気軽にご連絡下さい。