【現地情報】ベトナムの路上販売の実態

日本ではもうほとんど見なくなった路上販売。私が子供の頃、大阪や京都の街中では、よく路上販売で包丁や洋服、食べ物や文具など、あらゆる物を販売するストリートベンダーがいました。

現在のベトナムでも路上販売は多く、ハノイ市やホーチミン市でもその数はまだ多いです。しかし、エリアによっては随分と減少しています。先日、ホーチミン市ではこの路上販売を完全に取り締まるようなニュースも。

今回は、未だに多いベトナムの路上販売の実態を解説します。

路上販売は今でも多い

地方はもちろん、ハノイ市やホーチミン市といった大都市圏でも路上販売者は多いです。ベトナムの路上販売は、様々なものが販売されています。例えば、食べ物（フルーツや野菜、バインミーやバインザー等）、おもちゃ、小物（扇子やノンラーやキーホルダー等）といったものが挙げられます。

特にハノイ市の場合、旧市街のあるホアンキエム、隣接するハイバーチュンに多い傾向です。また、他のエリアでも脇道に入れば路上販売者は多くいます。時折、地元警察が見回り介入する様子も見受けられるものの、その数は少なく、仮に介入しても注意で終わることが多いです。

路上販売者はどんな人？

ハノイ市やホーチミン市にいる路上販売者は、地方出身の低所得層が多いです。つまり、出稼ぎです。もちろん、その都市出身という人もいますが、極めて少ないです。さらに、都市部における路上販売者の場合、正式雇用の代替手段として実施しているケースも多いです。

一部記事ではハノイ旧市街だけで約2,000人の路上販売者がいると言われています。ですが、出典情報の不明確さや移動性を伴う業態かつ収集調査が困難で、実態は不明です。

路上販売者の許認可

法令上は原則禁止です。特に、特定道路や学校、病院や宗教施設周辺などは禁止区域に指定されています。つまり、認可制度はほぼ存在しません。そのため、地権者との非正式賃貸（1ヶ月2,000,000 VND〜3,000,000VND）による「闇スペース」が存在するといった具合です。

もちろん、都市部では路上販売は非合法扱いです。しかし、地方や観光用のナイトマーケットなどでは黙認エリアも存在します。また、ハノイ旧市街のドンスアン市場で行われるナイトマーケットに関しては、国有形企業のバックアップのもと実施しています。詳しくは、「【現地情報】ハノイの市場の月額賃料」のジャーナルをお読み下さい。

販売商品と販売価格

以下は実際にハノイ市内で実際に私が購入した商品と価格です。正直、言い値文化のためまちまちですが、目安になります。

• バインミー：15,000VND 前後
• もち米（ソイ）：15,000VND 前後
• バイナップル1つ：15,000VND 前後
• オレンジ1Kg：100,000VND 前後
• コーヒー：15,000VND 前後
• サトウキビジュース：10,000VND 前後
• ヘアゴム1つ：5,000VND 前後
• サングラス：30,000VND 前後
• ノンラー：100,000 VND 前後

多くの場合、自転車や天秤棒での販売です。朝早くから夕方頃まで販売しており、多くの場合、販売者は女性です。路上販売している女性の写真や詳しいことは、ハノイ女性博物館でも展示されています。博物館の住所や詳細は、「Bảo tàng Phụ nữ Việt Nam」のブログを参考に、一度女性博物館に立ち寄ってみても面白いでしょう。

路上販売者の今後

ホーチミン市では、2024年に歩道使用料徴収制度を導入しました。しかし、2025年7月末には、歩道での商売やサービス業の新規営業場所の許可を停止すると発表。既に営業許可を受け、有料で営業していた場所は、有料期間の終了までのみ営業が許可されることとなりました。

ハノイでも行政が街を「近代化」する流れがあり、非公式経済との緊張が続いている状況です。私の予想では、ベトナム国内では全体的に路上販売は完全禁止の方向へ向かうものの、特定の観光エリアでは「地元の絵」として一部非公式的に残すのではないかと予想しています。

おわりに

ベトナムにおける路上販売は依然根強く、形式的には非合法でも現地の“生活の一部”として機能しているのが実態として挙げられます。そのため、法律で禁止する一方、路上販売者の生活保護をどう対応するかが、国家の今後の課題となるでしょう。

ベトナムの本来の生活のあり方を現地で観察することは、ビジネス進出の際の正確な情報収集の一環として非常に有効的手段です。現地の視察や現地の情報が必要な場合は、お気軽にご相談下さい。

今回の記事作成で使用した参考ウェブサイト等
・Vietcetera: How Vietnam’s Sidewalk Economy Makes Money
・SIT Study: Abroad Street Food Policy in a Growing Economy
・Tuoi Tre online: TP.HCM ngưng chấp thuận điểm bán hàng mới trên vỉa hè, sẽ làm đề án quản lý khác