
【ベトナム進出/移住】ベトナムでのフランチャイズ展開
ベトナムは、経済成長が著しい国の一つですが、その理由の一つに外資ブランドのフランチャイズ展開が挙げられます。実にベトナムは、加盟人口・中間層が育ち、フランチャイズ展開が非常に盛んです。
私も前職では、日本国内に350店舗以上を展開するとあるブランドに約7年間所属、フランチャイズオーナーを開拓する加盟開発営業部の部長としては約3年半従事しました。私の経験からも、日本のフランチャイズとベトナムのフランチャイズはルールも商習慣も異なると感じます。
この記事では、外資ブランドが展開する際の法制度から、実際の成功事例を解説します。
ベトナムのFC制度の基礎ルール
法制度の概要
外国企業がフランチャイズ展開するには、 Nghị định số 35/2006/NĐ-CP của Chính phủ に基づく、MOITへの登録が義務付けられています。また、展開予定のブランドは、1年以上の運営実績・知的財産登録済などの条件を満たす必要があります。
契約と報告義務
登録後の違反(未登録営業など)には、罰金が科される場合があります。企業向けには数百ドル〜千ドル程度の罰則が設定されていますので注意が必要です。
外国ブランドの参入形態
① 直接フランチャイズ契約
② ベトナム現地子会社(FDI企業)を設立して展開
の2方式があります。そのため、目的や規模によって選択可能です。
内資法人と外資法人での違い
ベトナムでフランチャイズ展開をする場合、内資法人、外資法人に関わらず「 Nghị định số 35/2006/NĐ-CP của Chính phủ」は適用されます。ただし、外資ブランドの場合はさらに追加の条件や手続き(MOIT登録など)が課されます。そのため、手続きの煩雑さと条件の厳格さでは外資の方がハードルは高くなります。
共通して必要な条件(内資・外資):
- フランチャイズ供与者(本部)は、少なくとも1年以上の運営実績が必要。
- フランチャイズの内容に関する知的財産(商標など)が登録済であること。
- 供与契約には、事前に情報開示義務がある。
外資ブランドに特有の要件:
- MOIT(商工省)への登録が必須。
- 一部の場合、商業活動ライセンスや投資登録証明書(IRC)も必要。
- 通常、ベトナム語での契約書を用意し、登録の際は公証翻訳が求められる。
日本とベトナムでの違い
日本ではベトナムよりも制度が比較的緩やかです。しかしながら、次のようなルールが存在します。
日本におけるフランチャイズ制度の概要:
- 日本では、特定商取引法(通称:特商法)が適用。
- 契約締結前に、事前開示書面を交付し、契約締結までに一定の期間(最低14日前)を空けなければならない。
- フランチャイズ契約そのものに関して、ライセンスや登録の義務はない。
外資企業が日本でFCを展開する場合:
- 日本法人を通じてブランド展開するのが一般的(だが、100%外資も可能)。
- 外資であっても日本人FCオーナーと契約することに特別な制限はない。
ベトナムでは外資に対してのフランチャイズ展開ルールがあります。しかし、日本では「外資だからのルール」はありません。
フランチャイズ成功事例
①ToCoToCo
- ブランド:ベトナム発のミルクティチェーン
- 予想投資額:約600,000,000〜900,000,000 VND
- 商品価格帯:約25,000〜54,000 VND
- 主要顧客層:若年層、ファミリー層
- 補足:600店舗以上を展開、フランチャイズストアが全体の60%を占める。
②Mixue
- ブランド:中国発の格安アイス&ティーチェーン
- 予想投資額:約1,000,000,000〜1,200,000,000 VND
- 商品価格帯:アイスクリームが10,000 VND〜と格安
- 主要顧客層: 学生、若年層、ファミリー層
- 補足:ベトナム国内で1,000店舗以上、世界全体では2024年末時点で46,000店舗以上の展開
③Highlands Coffee
- ブランド:ベトナム発(創業者:ベトナム系米国人)のコーヒーチェーン
- 予想投資額:約2,000,000,000〜2,500,000,000 VND
- 商品価格帯:約30,000〜60,000 VND
- 主要顧客層: 若年層、ビジネスパーソン、観光客など幅広い
- 補足:ベトナム国内で約830店舗を展開し、JollibeeとのJVにより資本力強化(フィリピン国内では約50店舗)
④Lotteria
- ブランド:韓国発のファストフードチェーン
- 予想投資額:約3,000,000,000〜4,000,000,000 VND
- 商品価格帯:約25,000〜80,000 VND
- 主要顧客層:学生、若年層、ファミリー層
- 補足:ベトナム国内で200店舗以上を展開、2023年にロッテリア・ベトナムがローカル企業IDGグループに売却
投資額を予想と記載した理由は、店舗の立地によって家賃や内装工事費が大きく変動するためです。
また、VIETNAM.VNの記事にもある通り、フランチャイズ本部から提示される金額が実態と大きくかけ離れることが多いためです。
フランチャイズ展開のメリットと注意点
メリット
- ブランドとオペレーションの確立:ノウハウ・メニュー設計がパッケージ化されており、展開しやすい。
- 顧客認知の早期確立:ブランド知名度があるほど信頼性があり、集客が容易になりやすい。
- 本部側のメリット:加盟金及びロイヤリティでの収益性が高い。
注意点
- 法規制と登録義務:未登録営業には罰金がある。
- 競合との競争:「現地パートナーなしでは難しい」「汚職文化に巻き込まれやすい」という現実の声もある。
- 実態を掴む:総投資額を始め、オーナー側の実態を把握する必要がある。
おわりに
フランチャイズによるビジネス展開は、「スピード展開」が本部側及び加盟側の両者に適用されるメリットです。しかし、スピードが早い分、特に海外となれば見えない実態が多く、十分な注意が必要です。
オーナー側の実際の声もありますが、本部側も加盟店の管理を始めとした様々な注意が必要であることをお忘れなく。