【現地情報】ベトナムの環境規制とリサイクル事情

【現地情報】ベトナムの環境規制とリサイクル事情

はじめに

ベトナムでは近年、環境保護法やリサイクル規制が強化されつつあります。そのため、今後は企業や在住者にも影響が出るでしょう。今回は、最新の法令と現場のリサイクル事情を解説します。

拡大生産者責任(EPR制度)

EPR制度とは、製品の生産者や輸入者が、製品のライフサイクル全体、特に廃棄・リサイクル段階においても責任を負う制度です。これにより、廃棄物削減、リサイクル促進、環境保護を目指します。

この制度は、2024年より段階的に実施が開始されています。

  • 食品包装・洗剤容器などのリサイクル率は10〜22%へ
  • 2025年から電子機器も対象、2026 年には輸送機器も対象に拡大予定

また、Nghị định số 05/2025/NĐ-CP của Chính phủ による改訂点が追加されました。

  • リサイクル対象に「品質表示担当者」も含まれるよう拡大
  • 自ら回収・リサイクルを行う場合の条件明確化(環境許認可等)

対象業種とリサイクル義務の概要

リサイクルの対象業種と義務内容は以下のように定められています。

  • 対象:包装材料、電池、タイヤ、潤滑油、電子機器、輸送機械など
  • 責任対象外:売上が VND 30 億未満、輸入額が VND 20 億未満の中小事業者

対象事業者等は、以下のような対応方法を取る必要があります。

  • 自社回収システム構築
  • 認定リサイクル業者への委託
  • 金融的拠出により義務履行(VEPFへの寄付)

Nghị định số 08/2022/NĐ-CP của Chính phủ および Nghị định số 05/2025/NĐ-CP của Chính phủ に基づく情報です。そのため、実際の事業に関しては、最新の環境庁規定やMONRE公示リストを必ず確認し、専門家への相談を推奨します。

ベトナムのリサイクルの現状

法令は定められていますが、実態はどうなのでしょうか?

  • 現在、国内プラスチック廃棄物の内、約20〜30%がリサイクルされていると推計される。
  • また、非公式再生業者の役割が非常に大きく、電子廃棄物などを個人で回収し再利用する現場が多い。

このように、法制度があるものの実運用には差があるのが現状です。

参考①:Ocean Plastic | The Circulate Initiative
参考②:apnews.com

政府や企業や自治体の取り組み

そこで、各地方では 「ゴミ分別キャンペーン」PJなど、住民参加型の分別導入モデルが進行しています。さらに、ハノイ市人民議会では、2025年7月に段階的な使い捨てプラスチック規制計画を決議しています。

開始年月 規制対象 内容
2025年10月 カフェ・飲食店等 環状1号線内と中心部でのストロー・カップ・容器など試用禁止のパイロット導入
2026年1月 ホテル・観光施設 歯ブラシ、カミソリ、綿棒、シャワーキャップ、使い捨てトイレタリーの提供・使用禁止
2027年1月 市場・コンビニ 無料配布の非生分解性プラ袋の提供禁止。徐々に全面禁止へ移行
2028年1月 市場・行政機関等 非生分解性プラ袋および発泡スチロール容器など使用・販売全面禁止。公的機関にも対象拡大
2031年1月 市域全体 使い捨てプラスチック製品の生産・輸入・販売を禁止(ただし、ベトナムエコラベル認定品や輸出用パッケージなど例外あり)

参考①:Open Development Vietnam
参考②:VN EXPRESS
参考③:Việt Nam News
参考④:Tuổi Trẻ News
参考⑤:Adsale Plastics Network

上記の規制は、ハノイ市人民議会の決議によって定められたものです。そのため、地方自治体によるハノイ市条例扱いの政策策定であり、ベトナムの環境保護法の国家法ではありません。

おわりに

在ベトナム日本法人や輸入企業は、対象製品かどうか、リサイクル比率義務の確認が必要になってきます。また、デクリアランス登記や報告義務、環境許可証(許認可)要件を必ず確認しておきましょう。