
【現地情報】ベトナムのファストフード商戦
日本人の皆さんなら誰もが知っているマクドナルド、2024年通期決算時には 2,988店舗が日本国内にあります。そして、世界中の物価を測定する際にビックマック指数が使用されるほどの影響力です。
ですが、ベトナムにおけるマクドナルドの店舗数は、2025年5月末時点で37店舗と意外にも少ないです。では、なぜベトナムでは人気のファストフードが日本と異なるのでしょうか?
今回は、ベトナムのファストフード店舗数をランキング形式で紹介。また、私なりの分析も含めてそれぞれ解説します。
ベトナム国内ファストフード店舗数ランキング
まず、ベトナム国内におけるファストフード店舗数トップ5です。それぞれの特徴もご紹介します。
第1位:Lotteria(ロッテリア)
韓国を代表するファストフードであるロッテリア。もちろん、韓国国内でのファストフード業界でも店舗数は1位です。ロッテグループによる2024年度末時点の財務報告書によると、ベトナム国内に253店舗のロッテリアを展開しています。なお、ベトナムのファストフードを牽引する存在として、現在も拡大中です。
第2位:Jollibee(ジョリビー)
フィリピンを代表するファストフードであるジョリビー。2024年度末のEBITDAは、4000億VNDを超えるという大躍進。ベトナム国内の現在の店舗数は213店舗で、ロッテリアに次ぐ店舗数を誇ります。また、大型ショッピングモールから小型路面店まであり、楽しく踊る蜂のキャラクターは多くのベトナム人から愛されています。
第3位:KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)
アメリカ発祥のファストフードであるケンタッキー。日本では「ケンタ」で通じますが、海外では「KFC」と言わないと通じません。ベトナム国内の現在の店舗数は172店舗で、ジョリビーから離れるも高い存在感を維持しています。私が食べた中では、最も味が日本と異なっていて、ベトナム人に合わせた味付けを意識しています。
第4位:Pizza Hut(ピザハット)
こちらもピザ大国であるアメリカ発祥のファストフードのピザハット。日本と同様、ベトナムでも日頃からキャンペーンを打って集客している印象が強いです。また、ピザハットのベトナム国内の現在の店舗数は118店舗で、ベトナム人もピザ好きなことがわかります。
第5位:The Pizza Company(ザ・ピザ・カンパニー)
タイ最大級の外食企業グループであるMinor Food Groupが有するザ・ピザ・カンパニー。タイ国内シェアNo.1ピザチェーンとして成長した後、ASEAN諸国や中東に積極展開しています。ベトナム国内の現在の店舗数は74店舗です。私が食べた印象は、素朴なピザの味で子供もお年寄りも楽しめるテイストです。
その他のファストフード店の店舗数
- Domino’s Pizza:ベトナム国内で59店舗を展開
- Popeyes:ベトナム国内で59店舗を展開
- Texas Chicken:ベトナム国内で42店舗を展開
- McDonald’s:ベトナム国内で37店舗を展開
日本では圧倒的に多いマクドナルドはベトナム国内では37店舗です。1位のロッテリアと比べると圧倒的に差があります。
マクドナルドを食べたことがないベトナム人が都心部に結構いる
私の友人のベトナム人の何人かにも聞いてみましたが、「一度も食べたことがない」と答える人も。そこで、「何で食べたことがないの?」と聞くと、「美味しそうに見えない」「値段が高い」という回答。
また、日本語を話さないベトナム人や外国に住んだことがないベトナム人にはマクドナルドが疎遠な傾向が明らかになりました。(ブログで調査レポート化していないため母数は割愛。)
ロッテリアやジョリビーが多い理由
世界的なブランドのマクドナルドより、ロッテリアやジョリビーが多い理由を分析してみます。
1. 先行者利益
- ロッテリアは1998年参入
- ジョリビーは1996年参入
- マクドナルドは2014年参入
ベトナムにファストフード文化を根付かせたのが、ロッテリアやジョリビー。マクドナルドは後発であり、これはハンデと考えられます。
2. メニューのローカライズ適応度
ロッテリアやジョリビーは現地テイスト商品を積極的に展開。ジョリビーは「フライドチキン+甘めのパスタ」など、ベトナム人の食嗜好に合わせた商品で強みを発揮しています。実際に食べるとわかりますが、ジョリビーのパスタは値段に見合わず美味しいです。
3. 価格帯とターゲット層
マクドナルドはベトナム進出時、米国外価格と比較してもやや高価格帯で導入。結果、ファストフードなのに高いと判断されています。
一方、ロッテリアやジョリビーは、低価格セットやお得プロモーションを豊富に展開。学生や家族世帯に浸透していると考えられます。
4. 店舗立地と運営戦略
マクドナルドは、大型店舗・都市部中心に配置する戦略。ですが、そこには多くの飲食店が展開しています。対ファストフードではなく、対飲食店との勝負になってしまいます。
一方、ロッテリアやジョリビーは、小型路面店+フードコート出店 にも積極的。とにかく生活動線に出店するため、自然と利用頻度が高まります。
5. 地域ブランド力と親近感
- ジョリビーは、ASEAN(フィリピン)から来たブランドとして文化的距離が近く、現地化が早い。
- ロッテリアは、ベトナム国内では韓国文化人気と連動し、「韓国チキン系ファストフード」として親近感あり。
- マクドナルドは「欧米・外資の象徴」色が強く、親しみより「高級感・非日常」が先行。
6.私が食べた印象
最後に、私が実際に食べた印象をお話します。
- バーガーよりチキンメインの方がベトナム人ウケする
- チキンの味単体勝負なら断トツでテキサスチキン
- ロッテリアのビーフ弁当は安くておすすめ
- マクドナルドは確かにファストフードなのに高い
- ジョリビーは圧倒的に家族連れが多く子供に人気
ベトナム人は、これらを「ファストフード」と認識しています。ポイントは、「ファストフードなのに」という部分。ここをどう舵切りするかで、大きく変わるでしょう。
机上のデータのみならず、実踏調査を踏まえることでより情報が鮮明にわかります。ベトナムの現地調査が必要な場合は、お気軽にご相談下さい。