
【現地情報】ベトナムの薬事法改正と薬局事情
ベトナムのハノイに住む日本人駐在員、旅行者からよく聞かれる質問の一つが薬局事情です。
「風邪薬とかって薬局で買える?」
「処方箋とかは必要?」
「英語は通じる?」
今回は、実際に現地で生活する私の視点で、ベトナムの薬局事情をまとめました。
また、2025年7月1日より、ベトナムでは薬事法が改正されていますので、合わせて解説します。
薬事法改正と施行開始
2017年にベトナムで施行された薬事法。ですが、医薬品産業の発展と新たな課題に伴い、国際基準と業界のニーズに合わせた改正が必要となり、2024年11月21日に国会で、改正薬事法が承認されました。そして、新たな改正薬事法は、2025年7月1日から施行されました。
新たな薬事法の改正箇所
この法律では、医薬品の製造、流通、販売、使用に関する規制が定められています。例えば、
- 電子商取引による医薬品販売の拡大
- 外資系企業の権利拡大
- 医薬品登録手続きの簡素化
- 医薬品輸入規則の合理化
- より厳格な薬価管理と透明性
- 企業向けの移行規定
です。これらの項目が、今回の薬事法で改正されました。
参考:Vietnam’s Amended Pharmaceutical Law: Navigating the Key Changes
改正箇所の具体的な内容
改正された一部を解説します。
薬局チェーンの規制
薬局チェーンに関する規定が一部追加されました。
- 責任者について
責任者の要件:
薬局チェーンを運営する事業体の専門的責任者は、2016年薬事法の規定に従い、専門資格を有し、かつ適切な製薬施設での2年間の専門実務経験が求められます。また、チェーン内の各薬局の専門的責任者は、2016年薬事法に規定される条件を満たす必要があります。責任者の兼任許可:
2016年薬事法改正に伴い、専門的責任者は一つの事業所・一つの店舗でしか責任を負えなかったのに対し、薬局チェーン内の複数の薬局間で責任者をローテーションさせることが可能になりました。 - 電子商取引の拡大と規制について
オンライン販売の禁止品目:
・処方箋薬
・特定管理薬
・小売制限リストに掲載されている医薬品
・特定管理薬の卸売販売オンライン販売の許可:
・電子商取引取引プラットフォーム
・オンライン販売用電子商取引アプリケーション
・オンライン注文機能を備えた電子商取引ウェブサイトこれらのプラットフォームを通じてのみ、医薬品および医薬品原料のオンライン販売は許可されます。(一部の条項は2025年1月1日から先行して施行済)
新薬事法に関して、より具体的な内容を知りたい場合は、参考サイトへアクセスして下さい。医薬業界の方は要確認です。
ベトナムの薬局事情
では、ここからは実際の薬局のリアルを解説します。
まずベトナムには、大きく分けて2種類の薬局があります。
ローカル薬局
- 街中の至る所にある小さな店舗です。
- 店頭カウンターで直接薬剤師に症状を伝えて購入できます。
- 価格は安いです。(数千VND〜数万VND)
チェーン系薬局
- Long Chau Pharmacy や Pharmacity など
- 店内も清潔で、簡易POSシステムで価格表示が明確です。
- 価格はローカル薬局よりは少し高いですが、それでも安いです。
ベトナム人の中でも人気があるのは、Long Chau Pharmacy です。
購入方法と注意点
処方箋なしで購入可能
ベトナムでは、抗生物質を含め、ほとんどの薬が処方箋なしで購入できます。例えば、
- パラセタモール(解熱鎮痛剤)
- 抗生物質(ペニシリン系・マクロライド系など)
- 抗ヒスタミン剤(アレルギー薬)
です。日本では医師の処方が必要な薬です。ですが、ベトナムでは薬剤師に症状を伝えれば購入できます。
英語はほとんど通じない
病院併設薬局や大規模チェーンでは、時々通じます。ですが、ほとんど通じません。そのため、ベトナム語が難しい場合は、翻訳を使うか、ベトナム人に付き添いをお願いして下さい。
おすすめの購入方法
それではここからおすすめの購入方法をお伝えします。それは、“Long Chau Pharmacy”のウェブサイトを利用することです。
FPTグループ傘下の”Long Chau Pharmacy”
“Long Chau Pharmacy”は、FPTグループ傘下のベトナム最大の薬局チェーンです。”Long Chau Pharmacy”は、医薬品のオンライン購入と宅配サービスも展開しています。また、Zaloでも健康相談や購入サポートを提供しています。
もし、アプリの利用に抵抗がある方は、公式ウェブサイトへアクセスして下さい。そして、上部の検索窓口で、購入したい薬の名前や関連するワードを入力。すると、「価格・成分・注意点」など、細かく調べることが可能です。
ご自身の症状にあった薬が簡単に見つかります。また、慣れてきたらアプリをダンロードして、オンライン購入にもチャレンジしてみて下さい。
MISSION.Hからのアドバイス
- 風邪や軽い不調なら薬局購入で十分
- 抗生物質などは念の為、医師に相談してから購入
- 常備薬を事前に日本から持参するのもおすすめ
もし、症状が重い場合は、薬局ではなく国際病院やクリニックを受診してください。
MISSION.Hは、調査と視察の専門です。ですが、もしも病院や薬局への同行が必要な場合、生活で困ったことがあれば、いつでもご遠慮なくご相談下さい。