【ベトナム進出/移住】M&AのビジネスDD

【ベトナム進出/移住】M&AのビジネスDD

東南アジア、特にベトナム・タイ・インドネシアなどへの投資が活発化する中で、ビジネスDD(Business Due Diligence) の重要性が増しています。

今回は、ビジネスDDの基本・東南アジアでの特徴・簡易ビジネスDDの活用・注意点 をまとめます。

そもそもビジネスDDとは?

M&AにおけるDD(デューデリジェンス)には、

  • 財務DD
  • 法務DD
  • 税務DD
  • ビジネスDD

などの種類があります。

ビジネスDDの目的

  • 対象会社のビジネスモデルの実態を把握
  • 将来的な市場ポテンシャル評価
  • 顧客構造、競合状況、サプライチェーンの検証
  • 計画通りのシナジーが見込めるかの検証

つまり、財務諸表だけでは見えない「事業の本質的価値」を評価するための調査です。

一般的なビジネスDDで調査すること

ビジネスDDの調査範囲は広く、代表的な項目は以下の通りです。

① マーケット調査

  • 対象市場の規模・成長性
  • トレンドや規制変化
  • 競合分析(ポジショニング、シェア推計など)

② 事業モデル分析

  • 収益構造(収入源、コスト構造)
  • プライシング戦略
  • 主要顧客・取引先構造

③ オペレーション分析

  • 調達、製造、物流、販売チャネルの現状
  • 業務プロセスの効率性とボトルネック

④ 経営陣・組織体制

  • キーマンの能力・ビジョン
  • 組織構造とガバナンス状況

⑤ シナジー評価

  • 買収後の統合シナジー可能性
  • 他拠点・事業との統合障壁

東南アジアM&AでのビジネスDDのポイント

① 公的データ不足

東南アジア諸国では市場統計や業界データが不十分です。そのため、データベースのみでは分析が不可能な場合が多いです。つまり、現地ヒアリング、専門家インタビュー、独自調査が重要となります。

② ビジネス慣習の違い

曖昧な契約関係が多く、オーナーシップ構造が複雑です。家族経営が多いこともあり、実質的オーナー(Nominee)が存在する可能性もあります。

③ 財務・法務DDだけではリスク把握不能

財務DDで「問題なし」と判断されても、ビジネスモデル自体が成り立たなくなる規制変更リスクなどが潜在するケースもあります。

④ キーマン依存度が高い

現地経営が個人の信用・人脈に依存していることが多いです。そのため、買収後にキーマン退職でビジネスが瓦解するリスクもあります。

⑤ コンプライアンス文化の差

東南アジアではグレーな商習慣や接待文化が色濃く残ります。そのため、統合後に本社コンプライアンス基準に合わせる際の摩擦が発生する可能性が高いことがあります。

簡易ビジネスDDという選択肢

簡易ビジネスDDとは?

正式なフルスコープDDの前に、短期間・低コストで実施する事前評価調査です。DDは、基本的に大規模な事業買収の際に行われます。そのため、中小規模の買収の場合、調査そのものが重いコストになりかねません。

ですが、買収前のリスク判断のために、現地情報と合わせて調査をしたいところ。そういった際にメイン調査としても行われることもあります。

内容例

  • 対象市場の基本規模・成長性スクリーニング
  • 競合数社ヒアリングによる大枠ポジショニング
  • 主要顧客構造・販売チャネル概要調査
  • オペレーション簡易現地確認(工場・店舗見学)
  • 潜在リスクの仮説抽出

メリット

通常、ビジネスDDは他のDDとセットで行われます。そのため、コストが数百万円から数千万円になります。

一方、簡易ビジネスDDの場合は、単体調査が可能なため、調査コストを抑えることができます。また、調査内容によっては、数字では見えないリアルな情報を入手することも可能です。

特にベトナムの場合、公的データの不足から、簡易ビジネスDDが非常に重要な役割を果たします。

注意点

フルスコープDDではないため、詳細数値検証や契約精査は含まれません。そのため、大規模投資実行前には正式DDが必須と言えます。

ビジネスDDを成功させるには

  • 現地に根ざした調査チームと組む
    データだけでなく現場感覚を持つ調査員が必須
  • インタビュー先の選定が重要
    競合、顧客、業界専門家からバランスある情報収集が必要
  • 財務・法務DDと連携する
    ビジネスモデル評価と財務状況のギャップ分析が重要

公的データが不足する国では、現地調査の情報からデータを補完することが大切です。

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