【ベトナム進出/移住】政令59/2026|外国人退去ルール解説

【ベトナム進出/移住】政令59/2026|外国人退去ルール解説

はじめに

2026年4月1日、ベトナム政府は 「政令 59/2026/NĐ‑CP」 を正式に施行しました。

本政令は、ベトナム国内で法律に違反した外国人について、「退去、一時拘留、護送、管理処置」などの手続きとルールを体系的に整備したものです。

本記事では、「導入背景・内容・注意ポイント」を公式情報に基づいてわかりやすく解説します。

1. この政令は何を定めているのか?

正式名称は次の通りです。

Nghị định số 59/2026/NĐ-CP quy định hình thức xử phạt trục xuất, biện pháp tạm giữ người, áp giải người vi phạm theo thủ tục hành chính và quản lý người nước ngoài vi phạm pháp luật Việt Nam trong thời gian làm thủ tục trục xuất(ベトナム政府の官報サイトより

つまり、「政令 59/2026/NĐ‑CP」は以下の内容を対象にしています。

  • 退去の基準と手続き
  • 一時拘留の適用と手続き
  • 護送措置の手続き
  • 退去手続き中の外国人管理措置
  • 上記に関連する権利・義務や執行機関の責任分担

そして、この政令は、旧政令「142/2021/NĐ‑CP」を置き換える形式で施行されました。

2. 導入された背景|なぜ新しい政令が必要なのか?

これまで、外国人の退去処分や拘留・護送に関する基本構造は旧政令で規定されていました。しかし、国際的な人権基準の順守、法執行の透明性向上、さらに行政手続きの明確化が求められる状況が進みました。

そのため、新政令では手続きの詳細な整理と権利保護、管理措置の明文化、執行機関の責務の整備が行われています。ベトナム現地メディアによれば、これによって行政処理の透明性と法的安定性が高まると評価されています。
(出典:VIETNAM BRIEFING – Navigating Vietnam’s New Deportation Rules: What Foreigners Should Know

3. この政令で何が変わったのか?

以下、政策毎にポイントを整理します。

①退去処分のルールが明確化された

外国人が行政違反を犯した場合、どのような条件で退去(国外追放)になるのかが明確に整理されました。
具体的には次のような内容が整理されています。

  • 誰が退去処分を決定するのか
  • どのような手続きで進むのか
  • どのように本人へ通知されるのか

これまで分散していたルールが一本化され、恣意的な運用がされにくくなった点が重要です。

②一時拘留・護送のルールが制度化された

違反した外国人に対しては、状況に応じて以下が行われる可能性があります。

  • 一時拘留(一定期間の身柄拘束)
  • 護送(移送・連行)

今回の政令では、「どのケースで実施されるのか」「どのような手順で行うのか」が明文化されました。
つまり、現場判断ではなく制度として運用されるようになったという点がポイントです。

③退去までの「管理措置」が具体化された

退去が決まってから実際に出国するまでの間、対象者は一定の管理下に置かれます。

主な内容は以下の通りです。

  • 移動の制限
  • 指定された場所での滞在
  • パスポート等の一時保管(必要に応じて)

これは逃亡防止や手続きの確実な実行のための措置であり、運用ルールが明確になった点が重要です。

④外国人の「権利保護」も明記された

今回の政令は、処分だけでなく対象者の権利保護も明文化している点が特徴です。
主な権利は次の通りです。

  • 処分理由の事前通知(原則48時間前)
  • 大使館・領事館への連絡
  • 通訳の要請
  • 不服申立て・再審査請求
  • 合法的な財産の持ち出し

特に「財産の持ち出し」が明記された点は重要で、単なる強制排除ではなく、一定の権利を担保した制度設計になっています。

⑤すぐに退去にならない「例外」も規定された

すべてのケースで即時退去になるわけではありません。
以下のような場合は、退去の延期(または一時保留)が認められます。

  • 重病などで治療が必要な場合
  • 裁判・法的手続きが進行中の場合
  • 受入国が帰国を承認していない場合
  • 災害・感染症・戦争などの不可抗力

これにより、現実的かつ人道的な運用が可能になっています。

*公布:2026年2月(Công báo
*施行:2026年4月1日(Luat Vietnam

4. 外国人が知っておくべき注意点

以下は、ベトナムに滞在または訪問する外国人が特に注意すべきポイントです。

①処分は全て行政違反に基づく

政令の適用は、行政違反として処理される外国人に限られます。
刑事事件や別の法体系の処罰とは区別されています。

②通知と執行の手続きは厳格

処分については、決定内容が通知され、所定の待機期間や手続きが整えられます。
勝手な執行や裁量的な運用は制限されています。

③権利行使には期限や手続き要件がある

例えば、不服申立てや再審査の請求は、行政ルールに従って行う必要があります。
任意で勝手に主張できるものではありません。

④法律と政令の関係

「政令 59/2026/NĐ‑CP」は、入国・滞在法や行政違反法と連携して適用されます。
つまり、退去処分の根拠となる行為そのものは、違法滞在、不法就労、ビザ条件違反など。ですが、政令はその実行手続きの細部を定めた規則です。

5. おわりに

本政令は、外国人に対する「退去・拘留・護送・管理措置」を、一つの制度として整理・体系化した行政法令です。

重要なのは、今回の変更が「規制が厳しくなった」のではなく、「これまで曖昧だったルールがより明確になった」点にあるということです。

実際には、

  • 手続きの流れが明文化された
  • 権限や判断基準が整理された
  • 外国人の権利も明確に規定された

というように、運用の透明性と予測可能性が高まったことが本質です。

そのため、ベトナムで生活・就業・観光をする外国人にとって重要なのは、「何が変わったのか」を過度に恐れることではなく、“ルールが見えるようになった”ことを前提に、正しく理解し行動することです。

特に以下の点は、これまで以上に意識する必要があります。

  • ビザ・滞在条件の正確な理解
  • 就労許可・活動範囲の遵守
  • 過去の違反履歴が将来に影響する可能性

今回の政令は、「ルールに基づいて公平に管理するための整備」です。
だからこそ、正しく理解している人にとっては、安心材料にもなり得る制度変更と言えるでしょう。

ベトナムでは、法令そのもの以上に「現場でどう運用されるか」が重要です。

「なんとなく不安」な状態を、「理解して判断できる状態」へ。

現地での様々な場面での意思決定に迷った際は、ぜひご相談を。