3. この政令で何が変わったのか?
以下、政策毎にポイントを整理します。
①退去処分のルールが明確化された
外国人が行政違反を犯した場合、どのような条件で退去(国外追放)になるのかが明確に整理されました。
具体的には次のような内容が整理されています。
- 誰が退去処分を決定するのか
- どのような手続きで進むのか
- どのように本人へ通知されるのか
これまで分散していたルールが一本化され、恣意的な運用がされにくくなった点が重要です。
②一時拘留・護送のルールが制度化された
違反した外国人に対しては、状況に応じて以下が行われる可能性があります。
- 一時拘留(一定期間の身柄拘束)
- 護送(移送・連行)
今回の政令では、「どのケースで実施されるのか」「どのような手順で行うのか」が明文化されました。
つまり、現場判断ではなく制度として運用されるようになったという点がポイントです。
③退去までの「管理措置」が具体化された
退去が決まってから実際に出国するまでの間、対象者は一定の管理下に置かれます。
主な内容は以下の通りです。
- 移動の制限
- 指定された場所での滞在
- パスポート等の一時保管(必要に応じて)
これは逃亡防止や手続きの確実な実行のための措置であり、運用ルールが明確になった点が重要です。
④外国人の「権利保護」も明記された
今回の政令は、処分だけでなく対象者の権利保護も明文化している点が特徴です。
主な権利は次の通りです。
- 処分理由の事前通知(原則48時間前)
- 大使館・領事館への連絡
- 通訳の要請
- 不服申立て・再審査請求
- 合法的な財産の持ち出し
特に「財産の持ち出し」が明記された点は重要で、単なる強制排除ではなく、一定の権利を担保した制度設計になっています。
⑤すぐに退去にならない「例外」も規定された
すべてのケースで即時退去になるわけではありません。
以下のような場合は、退去の延期(または一時保留)が認められます。
- 重病などで治療が必要な場合
- 裁判・法的手続きが進行中の場合
- 受入国が帰国を承認していない場合
- 災害・感染症・戦争などの不可抗力
これにより、現実的かつ人道的な運用が可能になっています。
*公布:2026年2月(Công báo)
*施行:2026年4月1日(Luat Vietnam)
4. 外国人が知っておくべき注意点
以下は、ベトナムに滞在または訪問する外国人が特に注意すべきポイントです。
①処分は全て行政違反に基づく
政令の適用は、行政違反として処理される外国人に限られます。
刑事事件や別の法体系の処罰とは区別されています。
②通知と執行の手続きは厳格
処分については、決定内容が通知され、所定の待機期間や手続きが整えられます。
勝手な執行や裁量的な運用は制限されています。
③権利行使には期限や手続き要件がある
例えば、不服申立てや再審査の請求は、行政ルールに従って行う必要があります。
任意で勝手に主張できるものではありません。
④法律と政令の関係
「政令 59/2026/NĐ‑CP」は、入国・滞在法や行政違反法と連携して適用されます。
つまり、退去処分の根拠となる行為そのものは、違法滞在、不法就労、ビザ条件違反など。ですが、政令はその実行手続きの細部を定めた規則です。