【体験談】野心か逃避か、ベトナムの日本人

【体験談】野心か逃避か、ベトナムの日本人

はじめに

「同じベトナムに来ても、成功する人と苦戦する人がいる。」
その違いは、スキルでも資金力でもなく「マインド」です。

これは、ハノイ在住30年の日本人の知人から聞いた話です。

かつてベトナムにやって来た日本人の多くは、「何かを成し遂げたい」という強い意志を持っていた。いわば「攻めのマインド」を持った野心家たち。だが、近年ベトナムにやってくる日本人の多くは、「日本から離れたい」「何となく息苦しい」という理由だ、と。

つまり、ベトナムに来る日本人の「目的」や「マインド」が大きく変わってきているのです。

この違いは私も感じるところであり、また、現地での生き方やビジネスの成功・失敗に直結するものです。今回の記事では、私自身が現地で見てきたリアルなケースも交えながら、ベトナムにいる日本人の特徴と、その「マインドセット」がどのように結果を左右しているのかを掘り下げていきます。

1.「野心型」と「逃避型」の2つのタイプ

これは何もベトナムに限った話ではありません。海外に出た日本人は、大きく分けて2つに分類されます。

野心型:何かを掴みに来た人たち

かつてベトナムに来る日本人の多くは、「自分の力で道を切り開く」という野心を持った人が多かったそう。ビジネスを始めたい、チャンスを掴みたい、新しい市場に挑戦したい。そんな“攻め”のエネルギーを持つ人たちです。

このタイプは、現地での情報収集や人脈作りに積極的で、リスクを承知で行動する傾向があります。また、自分で決断し、環境を選ぶため、変化にも柔軟に対応できる人が多いです。実際に現代でもこのタイプはいて、1分1秒と時間を無駄にせず、いつも積極的なエネルギーに満ち溢れています。

 例:

  • 自分で事業を立ち上げる。
  • 調査や視察を重ねて長期的な計画を立てる。
  • 困難を「チャンス」と捉える傾向がある。

逃避型:日本から“離れるため”に来た人たち

一方、近年増えているのが「逃避型」と呼べる人たち。必ずしも悪い意味ではありませんが、「何をしたいか」よりも「経済縮小している日本・ストレス社会の日本から離れたい」という感情が先行しているケースが多いです。

このタイプは、目的地を「ベトナム」として選んだ理由が明確でないことも多く、情報収集や準備が不十分なまま移住する人も少なくありません。結果として、現地で思い描いていた生活と現実のギャップに苦しむこともあります。

例:

  • 「とりあえず海外に出たい」と決断。
  • 現地のルールや仕組みを軽視してしまう。
  • トラブル時の対応力が弱い。

2. 駐在員と経営者の「目的」と「覚悟」の差

ベトナムにいる日本人の中でも、駐在員と経営者ではマインドセットがまったく違います。

駐在員:会社とともに戦うプロフェッショナル

駐在員は、多くの場合、会社の中核人材としてベトナムに派遣されます。そのため、スキル・実績・ポテンシャルが高く、任されたミッションを遂行する責任感も非常に強いです。生活の多くが会社を中心に回るのは当然であり、それはむしろ「企業戦略の一翼を担う」という役割の大きさの裏返しでもあります。

プライベートでは現地生活を楽しみながらも、基本的には「任期ありき」の滞在です。会社のサポート体制も整っているため、安定した環境で成果を出すことに集中できます。

例:

  • 会社のサポート体制が整っている。
  • 人間関係は同僚や日本人コミュニティ中心。
  • 帰任を前提とした中期的な滞在。

経営者・起業家:人生をかけて現地に根を張る人たち

一方、経営者や起業家は、会社の枠に守られず、ゼロから現地に飛び込みます。制度・商習慣・人間関係をすべて自分で構築する必要があるため、挑戦の度合いは高く、成功も失敗もすべて自己責任です。そのぶん、ベトナム社会との接点が深く、現地に根を張る覚悟を持っています。

人との付き合いも「仕事の延長」であることが多く、現地社会と密接に関わりながら自らの人生を設計しています。

例:

  • 言語・法律・商習慣を自ら学び、適応する。
  • リスクを理解したうえで挑戦する。
  • 「成果を出す」ことに強くコミットしている。

当然のことながら、この2グループでは、「目的と覚悟」に大きな差が生まれます。どちらが良いというのではなく、目標に向かって突き進むエネルギー、一つのことに集中する力、時間のかけ方、が大きく違ってきます。

 

3. マインドの差が“成果”を左右する

同じベトナムに住んでいても、野心型と逃避型・駐在員と経営者では、まったく異なる未来が待っています。

  • 「なぜここに来たのか」
  • 「何を成し遂げたいのか」
  • 「どれだけ覚悟を持っているか」

この3つが曖昧なままだと、現地での壁にぶつかったときに折れてしまう可能性が高くなります。反対に、これらが明確な人ほど、たとえ失敗しても次の挑戦へと踏み出していきます。

海外でビジネスをするというのは、簡単ではありません。心が折れそうになる経験を山のようにします。そして、必ず壁にぶつかります。そんな時に、「どんなマインドを持っているのか」が大切になるのです。

強いマインドを持って、何度も暗中模索しながらトライし続ける。これが成功へと繋がるのです。

4. 家族・人間関係への影響

マインドの違いは、本人だけでなく「家族」や「パートナー」にも大きな影響を及ぼします。覚悟を持ってきた人は、家族の理解やサポート体制も強固な傾向があります。一方で、曖昧な目的で来た場合や本意ではない状態で来た場合には、現地生活の中で家族との温度差が広がるケースもあります。

特に「逃避型」の場合、現実とのギャップが大きく、家庭内トラブルに発展する例も少なくありません。

5. まとめ:海外で生きる覚悟を、出発前に問う

ベトナムは、日本と比べて生活コストが低く、チャンスも多い国です。だからこそ、「なんとなく来た」人でも一定期間は心地よく過ごせてしまう場所でもあります。

しかし、本当にこの地で成果を出し、長く生き抜いていくためには、野心・目的・覚悟という「マインドの土台」が欠かせません。

  • 野心型であれ逃避型であれ、自分の“軸”を持つこと。
  • 駐在員であっても、「受け身」ではなく「自分ごと」として動くこと。
  • 家族との意思共有とサポート体制を整えること。

この3つが揃って初めて、海外生活・海外ビジネスは本当の意味で機能し始めます。

6. さいごに|私の体験談

私はかつて、自らの意思でベトナムを選び、駐在員(ベトナム支社長)としてこの地に赴任し、覚悟を持ってゼロから挑戦しました。当時展開したサービスは、まだベトナムに存在せず、知り合いもいない。営業から経理、採用、育成まですべてを自分の手で経験しながら、一歩ずつ築き上げてきました。

その過程で痛感したのは、ベトナムでの成功は戦略やマーケティングだけでは成り立たないということです。一番の土台になるのは、「どれだけ本気でこの国と、そして事業と向き合えるか」というマインドです。

いま、あなたが進出前であっても、すでに進出して壁にぶつかっていても、大丈夫です。

同じ道を歩んできた私だからこそ、お役に立てることがあります。これまで多くの方の「意志決定」を支えてきた経験と、現場で培ったリアルな情報で、あなたの一歩をしっかりと後押しします。どうぞ、いつでもご相談ください。