【ベトナム進出/移住】ビザと労働許可証ガイド

【ベトナム進出/移住】ビザと労働許可証ガイド

はじめに|必須となる「ビザ」と「ワークパーミット」

ベトナムで外国人が合法的に働くためには、「就労ビザ」と「ワークパーミット(労働許可証)」の2つが基本的に必要です。これは、Ministry of Labour, Invalids and Social Affairs”(MOLISA/ベトナム労働・傷病兵・社会省)が定める規定に基づいています。

今回の記事では、企業の駐在員・起業家・投資家・現地採用など、さまざまなケースに対応できるように、実務的な観点で分かりやすく解説します。

ベトナムで働くための基本条件

外国人がベトナムで働くには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 就労目的に合ったビザの取得
  2. ワークパーミット(労働許可証)の取得

この2つはセットで考える必要があります。ビザだけでは合法的な労働はできません。なぜなら、ワークパーミットがなければ就労許可を得られないからです。

  • ビザ:外国人が渡航先の国に入国するための必要な入国許可証。
  • ワークパーミット外国人がその国で働くことを許可する就労許可証。

ただし、法令で列挙された免除ケースや「ワークパーミットの代替となる免除証明(Work Permit Exemption Certificate)」が適用される場合は、ワークパーミットが不要になります。

参考:Vietnam Briefing / Viet An Law

ビザの種類と取得方法

外国人がベトナムで働く場合、就労目的に応じてビザの種類を選ぶ必要があります。主なビザは以下の通りです。

  • DN(商用):企業訪問・商談などで、短期滞在に多い。
  • LD(就労):外国人外国人労働者向けで、ワークパーミット必須。
  • DT(投資):投資家向けで、条件によりTRCが発行可能。
  • DL(観光): 就労は不可。

ビザは、海外のベトナム大使館・領事館で事前申請。もしくは、ベトナム入国後に企業がスポンサーとなって切り替えるケースがあります。就労目的の外国人は通常LDやDTを用いることが多いです。

ビザ名に関しては、実務上の表記差(LD/LV等)があります。また、一部ビザ(投資家向けDT等)は最大5年以上の長期滞在が想定されるケースがあり、法改正や在外公館による運用で差があります。ビザの種類ごとに細目が異なるため、発給条件や表記に関しては在外公館(大使館)や移民局の最新案内を確認して下さい。

ワークパーミット(労働許可証)の基本

ワークパーミットは、外国人がベトナムで働くために必要な「労働許可証」です。発行機関は、各省または市の労働局となります。

  • 有効期間:最長2年(更新可能)
  • 申請者:雇用主(企業)が申請
  • 対象者:専門家、技術者、管理職、労働者

必要書類の例

  • 犯罪経歴証明書(日本およびベトナム)
  • 健康診断書(ベトナム国内病院または指定医療機関)
  • 学位証明書・職務経歴書(専門家・管理職の場合)
  • 雇用契約書
  • 写真(パスポートサイズ)

これらの書類はベトナム語翻訳・公証・領事認証が必要です。

また、申請そのものの公式審査は、提出書類が完全であれば短期間(公的案内では「数営業日」という記載も見られる)で行われる場合があります。ですが、翻訳・公証・領事認証・無犯罪証明の取得など書類準備に通常1〜2か月を見込む必要があります。

ワークパーミット免除のケース

以下のケースに該当する外国人は、ワークパーミットの取得が免除されます。ただし、免除証明書(Work Permit Exemption Certificate)の申請と発行は必要です。

  • 投資家
  • 企業内転勤(同一グループ企業)
  • 短期業務従事者(年間累積90日以内)
  • 政府間協力プロジェクトの専門家
  • 外交関係者

免除証明書の有効期間は通常2年で、更新可能です。免除対象は「Decree No.152/2020/ND-CP」および「Decree No.219/2025/ND-CP」など、法令で列挙されています。

短期業務従事者に関する重要な法改正(2025年)

短期就業者に関する免除規定は、2025年8月施行の「Decree No.219/2025/ND-CPによって緩和されました。

改正前(旧制度)

  • 1回あたり30日以内。
  • 年3回まで免除対象。

改正後(新制度)

  • 年間累積90日以内の短期業務であれば免除対象。
  • 年3回の回数制限が撤廃。
  • 免除対象であっても免除証明書の申請・取得は必要。

この改正により、短期での技術支援・立ち上げ業務・調査出張などが、以前よりも柔軟に対応可能になりました。ただし、免除対象となる業務内容・申請期限・必要書類などは詳細に定められています。そのため、最新の政令・労働局のガイダンスを必ず確認する必要があります

参考:EY / VIALTO

ワークパーミット申請プロセス

ワークパーミット取得は、大まかには以下のステップで進みます。

  1. 雇用主が外国人雇用計画を申請
    ・MOLISA、または、労働局へ提出する。
    ・外国人を雇用する理由を明示する。

  2. ワークパーミットの申請・取得
    ・必要書類を提出し、審査を経て許可証が発行される。

  3. テンポラリーレジデンスカード(TRC)の取得
    ・ワークパーミット取得後、TRC(最長2年)を申請できます。

違反時のペナルティ

ベトナムでは外国人の無許可就労に対して厳しい罰則が設けられています。

  • 外国人本人:VND 15–25 million 程度 + 強制退去など。
  • 企業:VND 30–150 million 程度(違反内容・人数により増減)。

ブラックリストに登録されるリスクもあり、再雇用・再申請が難しくなるケースもあります。

おわりに

ベトナムで外国人が働くためには、正確なビザ・ワークパーミットの知識が不可欠。そして、進出や移住をスムーズに進めるには、法令の理解だけでなく実務的な対応も重要です。

特に企業進出の場合、ビザ・ワークパーミットの準備が遅れると、事業計画全体にも影響を及ぼします。そのため、最新の政令や行政手続きを正確に把握し、必要に応じて専門家への確認を行いながら、リスクを最小限に抑えましょう。

ベトナム現地の情報の収集や進出前の現地調査が必要な場合には、いつでもご連絡下さい。

また、進出に関するベトナム法の記事は、以下をご参考に。