
【現地情報】現地人には欠かせないハノイの市場
生活に欠かせない市場
私が子供の頃は、家の近所にスーパーがありました。スーパーと言っても、SEIYUや大関、関西スーパーのようなものではありません。スーパーの中にコンビニのような空間と、八百屋や魚屋や豆腐屋などが密集した空間とが混在しているような感じでした。
初めての市場
ハノイに初めて来たとき、私はハノイの生活を全く何も知りませんでした。日本人の知り合いもいない状況で、まず仲良くなったのが、アパートの警備員のおじさんでした。
「近所でお米が買えるところは知らない?」
ベトナム人の警備員のおじさんにGoogle翻訳で私は尋ねました。すると彼から返事が。
「明日の朝7時にアパートの玄関で会おう。連れて行ってあげる」
そして、次の日の朝に連れて行ってくれたのが、市場(chợ)でした。その市場を見た瞬間、懐かしさを感じたことを今でも覚えています。そこから市場での買い物の仕方をそのおじさんに教えてもらい、一人で買いに行くのが楽しくなりました。
実際に市場の人と仲良くなれば、ぼったくられることはありません。安くて美味しい野菜や肉、米や菓子が購入できます。そのため、ベトナム人からすれば、生活に欠かせない場所の一つです。
日本人は敬遠しがちな存在
しかし、日本の駐在員の方は日系スーパーや現地の大型スーパーに行きがちです。おそらく理由は衛生面やちゃんと買えるかという不安、またはカルチャーショックのようなもの。
「ハノイの市場って安いらしいけど、なんか不安だな…」
「野菜や肉はちゃんと洗ってるの?衛生面は大丈夫なの?」
「買い方も分からないし、言葉も通じないし、見た目もすごいし…」
「行ってみたいけどちょっと勇気が出ない」という日本人も多いでしょう。そこで今回は、よく市場を利用する私が、現地市場の様子・買い方・価格感・衛生面についてお話していきます。
ハノイの市場
ハノイには大小さまざまな市場が存在します。日本でいう「商店街」と「朝市」を合わせたような空間で、日常の買い物を支える存在です。主な種類は次のようになっています。
主な市場の種類
・常設の屋内市場(Chợ Đồng Xuân、Chợ Hôm など)
このタイプの市場は、屋根付きで大型、観光客も多めです。そのため、ガイドブックなどにも載っていたりします。食材以外にも、衣類や雑貨も多い市場です。
・地域密着のローカル市場(Chợ Long Biên、Chợ Linh Lang など)
このタイプの市場は、住宅街の中に突然現れる地元密着型の市場です。主に食材と・日用品を扱っています。
・路上に広がる非公式市場
このタイプの市場は、朝方や夕方に一時的に開かれる即席型の市場です。特にローカル感が強く、Google MAP に載ることもありません。
いずれの市場も朝6時ごろから営業しています。夏場は食材も傷みやすくなるので、新鮮なものを安く買いたいなら午前中がベストです。
市場の食材の衛生面
きっと多くの日本人が最も気にするのが、市場の食材の衛生面ではないでしょうか。そこで、普段市場で購入している私が、衛生面のリアルを書いていきます。
野菜の安全性
土つき、無洗のものが多く、さすがにそのままでは食べられません。そのため、しっかり洗う前提で買います。市場によっては、「無農薬」「家庭菜園」の張り紙があることもあります。ですが、ただし信頼度は自己判断ということにしておきましょう。
肉・魚の衛生状態
氷や冷蔵設備がないため、朝が鮮度的にもおすすめです。たまに肉はどこか保管庫から持ってきて、目の前でカットするということもあります。個人商店感覚で「このおばちゃんのところ」と、私はいつも決めて買っています。鶏や豚は部位を指定して買うこともできます。
安全性の工夫
EM菌や酢水で洗う・熱湯でさっと茹でるなど、ベトナム人も対策する家庭が増えています。そのため、「市場の野菜=不衛生」ではなく、“安全に扱う前提で買う”という文化があるように感じます。
気になる価格帯
価格は市場ごとに差があります。ですが、以下はローカル市場での大まかな相場(2025年6月現在)です。
品目 | 価格(目安) |
---|---|
トマト1kg | 20,000〜25,000VND |
キャベツ1玉 | 15,000〜20,000VND |
卵10個 | 22,000〜25,000VND |
鶏もも肉1kg | 50,000〜100,000VND |
豚バラ肉1kg | 100,000〜150,000VND |
タコ1kg | 180,000〜230,000VND |
パイナップル1個 | 10,000〜15,000VND |
購入する食材によっても変わりますし、市場によっても変わります。ですが、スーパーマーケットよりも安く購入することができます。また、1kg以上で購入すれば、価格がさらに安くなる傾向があります。家族が多い場合にはお手頃です。
買い方のコツと現地のルール
価格交渉は必要?
基本は「相場価格」で販売されているので交渉は不要です。ただし、観光地の大きな市場では高めに言われることもあります。そのため、色んな市場に足を運んで、事前に相場を知っておくことが重要です。
会話ができなくても買える?
十分買えます。もしベトナム語ができない場合、ジェスチャーと電卓で会話はできます。ただし、以下の言葉は知っておくと便利です。
・「いくら?」= “Bao nhiêu tiền?”(バオ ニュー ティェン)
・「半分ちょうだい」= “Một nửa”(モッヌア)
・「カットして!」= “Thái”(タイ)
袋はついてくる?
ビニール袋に入れてくれます。日本のように有料ではありません。たくさん購入すると二重にしてくれるなど十分に気遣いもしてくれます。
日本人がベトナム現地の市場を使う利点
私が市場で優先して購入するのはいくつかの利点があるからです。主には次のようなプラスを感じます。
・安く購入ができて、量が多い。
野菜を袋いっぱいに購入(大人1人1週間分程度)しても70,000〜100,000 VND 程度です。また最も安く感じるのは魚介類です。そもそもスーパーで値段が高いものは、市場では随分と安く購入できます。
・珍しい野菜や香草、地元食材が見つかり、調理法を教えてくれる。
日系スーパーではあまり見ない香草が見つかることがあります。またそれだけでなく、八百屋のおばちゃんがどのように使用すれば良いかを教えてくれます。
・ベトナム語を覚える良いきっかけになる。
気さくに話せる人が多いです。また一生懸命に話せば相手も受け入れてくれ、時には発音を修正してくれます。地元の人と触れ合うことで、言葉の習得に活かすことができます。
市場 = “使いこなせば強い味方”
市場は決して観光用のエンタメ施設ではなく、現地の人が毎日利用する「生活のリアルな拠点」です。最初は戸惑うかもしれません。
ですが、「この人から買うと新鮮」「今日はこの野菜が安い」「おまけしてくれる」というのは、市場にしかない感覚です。そんな人とのつながりが、買い物をもっと楽しいものに変えてくれることは間違いありません。
ベトナム進出や移住といっても、そこにあるのは生活の積み重ねです。MISSION.Hでは、事業支援における調査だけでなく、買い物・食生活・地域との関係など、現地で生きる力そのものをサポートしています。
気になることやご相談したいことがある場合は、お気軽にメールにてお問合ください
最後に:この記事のまとめ
・ハノイの市場は安くて活気があるが、衛生面には少し注意が必要。
・野菜や肉も「扱い方」で十分安全に使える。
・慣れると“日常に溶け込む温かい場所”に変わる。
・市場は、現地の空気を感じながら暮らす第一歩。