
【体験談】ベトナム語が全くできない状態で移住して気づいたこと
私は前職、日系企業の駐在員のベトナム支社長としてハノイにやってきました。ベトナムにやってくる前、「ベトナム語」が全く話せないけど大丈夫か?」と自問していたことを覚えています。それでも私は、ベトナムにやってきて、事業・そして生活を始めることを決意しました。
振り返ってみると、言葉が通じない環境に身を置いたからこそ見えてきたものがたくさんあります。今回は、ベトナム語ゼロの状態でハノイに進出・移住し、リアルに体感した気づきを綴ってみます。
1. 思ったより“なんとかなる”
これは語学の話ではなく、「環境適応」の話です。ベトナムは、翻訳アプリ、その他スマホの様々な機能、ジェスチャーなどを駆使すれば、最低限の生活は成立する国だと感じました。もちろん、手続きや役所、商談などでは言葉の壁を痛感します。
でもその一方で、「外国人がいること」に慣れているベトナム人が多く、こちらが言葉に詰まっても優しく待ってくれる人が多いことに驚きました。
2. 相手の“表情”を読む力が鍛えられる
言語が通じないと、当然「察する」力が重要になります。特に商談や日常の会話では、相手がYESと言ったとしても、それが本心かどうかを表情や空気から感じ取る必要があります。
「笑ってるけど、納得してないな」「言葉はOKだけど、顔が曇っている」
こうした非言語コミュニケーションに敏感になり、むしろ日本にいた頃より“人を見る力”が研ぎ澄まされる感覚がありました。
3. ベトナム語が話せない=信頼されない、ではない
現地の人と関わる上で「ベトナム語を話せないと信頼されないのでは?」と不安になる方もいると思います。特にビジネスの場面ではより、そう思う人もいるでしょう。でも実際は、言葉よりも“態度”の方が圧倒的に信頼構築に影響すると実感しました。
例えば、
・拙い言葉でも元気よく挨拶をする
・ちょっとしたことでも「ありがとう!」「ごめんね!」と言う
・物事から逃げずに正面から向き合う
こうした行動の積み重ねで、ベトナム語ができなくても「信頼される日本人」にはなれるということを、私は経験を通じて確信しました。
4. それでも「少しだけ」でも話せると世界が変わる
生活や仕事はなんとかなります。けれど、やはりベトナム語が少しでもわかると、一気に距離が縮まるのも事実です。
「Xin chào(こんにちは)」 「Cảm ơn(ありがとう)」 「Ngon!(おいしい!)」
たった一言でも、自分の口からベトナム語を出すことで、相手の反応は驚くほど変わります。言葉の壁をゼロにするのは難しくても、「心を開くきっかけ」にはなると強く感じました。
5. 通訳・翻訳ツールは“使う側の力量”が問われる
私は、Google翻訳やAIなども積極的に活用しました。ただし、翻訳ツールに頼りすぎると、逆に誤解を生むこともあるというのが正直なところです。
例えば、細かい部分が伝わらなかったり、丁寧語な言葉のはずが失礼になってしまったり。こうしたリスクを減らすためには、翻訳内容を必ず「確認する習慣」が大事です。 ちなみに、日本語とベトナム語の互換性が良くなく、英語とベトナム語の方が互換性が良い、なんてことも使っていると覚えていきます。
6. 自分の不完全さを受け入れることがスタート地点
ベトナム語ができないことを、「恥ずかしい」と思った時期もありました。でも今では、それは新しい国でゼロから始める人間として自然なことだと受け入れています。
むしろ、完璧でない自分を見せることで、現地の人との間に“対等な関係”が築きやすくなることも多いです。
ただし、間違いなく言えることがあります。それは、「ベトナム語が話せた方が良い」ということです。これは、商談の際に、通訳の限界を感じたからです。
そのため、「話せないからもういいや」ではなく、必ずベトナム語の勉強をした方が良いと私は思います。
ちなみに、ベトナム人は日本人よりも英語を話せる人が多いですが、それでも英語はそこまで通じません。私の肌感としては、都心部では20%くらいが英語でコミュニケーションが取れるという印象です。
最後に:言葉が通じなくても、通じるものはある
私は今もベトナム語を勉強中です。それでも「今の自分でできることを、最大限やる」ことで、少しずつ信頼が積み上がっている実感があります。
ベトナム語が話せない状態での移住は、不安も多いです。でもそれを補って余りあるほど、得られる学びや出会いの価値は大きいと、私は皆さんに伝えたいです。
MISSION.Hでは、こうした「リアルな現地経験」に基づいたサポートを提供しています。
初めての海外進出や移住に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。