【体験談】ベトナムで法人を設立してわかった5つのこと

【体験談】ベトナムで法人を設立してわかった5つのこと

経験は価値

この記事では、実体験としてベトナムで法人設立をしてわかった5つのことを紹介します。この記事が、これからベトナム進出を検討される方の参考になればと思います。

記事を読む前にシェアしておきたいこと

私は現在ハノイ在住の個人起業家です。自分で起業し、自分一人でやっています。前職では、ハウス関連のサービス業の日系企業で7年間働いていました。私がいた会社はベンチャー体質で、何事にもチャレンジする会社風でした。その中でも、様々な経験が多かった私が海外事業立ち上げに抜擢され、海外進出に挑戦しました。

実は、私がいた業界全体でも日本企業が海外に挑戦するというのは初で、前例がない状況でした。そのため、サンプルにするような情報を事前に入手することもできませんでした。当時は海外進出をサポートしてくれる会社15社に問合せし、事細かに比較したことを覚えています。

中でも印象的だったのは、「貴社の業界の海外進出のサポート事例がありません。前例がないものは、ベトナム側から多額の賄賂を請求される可能性が高いです。そのため、お見積りは辞退させて下さい。」と、コンサルタント会社からお断りされるケースが7件もあったことでした。

『前例がないのによく海外へ進出をしたな』と思うかもしれません。ですが、チャレンジ精神豊富な私の心にはさらに火がつきました。自分で徹底的に調べて、あらゆる仮説を立てよう。そして、最終的に比較的安価にサポートしてくれる代行業者にサポートを依頼しよう。そう考えて、業界初の海外進出に着手していきました。

私はあらゆることを一任されていました。

・初の海外進出先国の選定
・日本国内での現地人材の採用と就労ビザの取得
・人材研修やマニュアル作成および育成
・進出先でのマーケティング戦略
・販売価格や輸出入の課題解決

ありとあらゆることをすべて一人で行いました。「一人でできるの?」「一人でやるべきではないでしょ?」などあらゆる疑問が出るかもしれません。ですが、私は経験を優先して一人で全て行いました。

事業閉鎖するも得た貴重な体験

最終的に、ベトナムのハノイに法人を設立、業界初のベトナムでの事業を開始することができました。そして、法人設立後は、日本ではできない様々な体験をしました。結果的に、今話している前の会社は退職、ベトナム法人を閉鎖、私は個人で起業することを選びました。

ベトナムで法人を設立して解散までしたことは非常に貴重な体験です。そんな私が実際にベトナムで法人を設立してわかったことを皆さんに5つ紹介します。特に、『事前に調べたことと違う』『現地でしか体験できない』ということにフォーカスしています。

ベトナムで法人を設立してわかったこと5つ

ではここからは、私がベトナムのハノイで法人を設立した際、そして設立当初に経験してわかったことを紹介していきます。きっとあなたのベトナム進出の役に立つはずです。

①外国人・外国企業はハンディを背負う

外国人であるということで様々な手続きが増えます。今まで日本にいれば自分は日本人で、その他国籍の人は外国人でした。外国人が日本で滞在及び就労する場合にはビザが必要ですが、日本人は必要ありませんよね。言わばそれと同じです。

ベトナムでは「日本人である = 外国人」です。「日本企業 = 外国企業」です。そのため、様々な面で手続きが増え、思ってもいなかったコストがかかります。

例えば、

・外資法人と内資法人では、法人設立時の手続きや内容が異なる。
・設立後は営業活動中、目がつけられやすい。
・手続き途中で何かと出費が出たり、交渉事が増える。

もちろん相手も「外国人だから」とはっきり言うわけではありません。ですが、暗黙の了解事として、外国人であるがゆえにハンディを生まれます。

②グレーゾーンは解決に時間がかかる

皆さんは「外資規制」をご存知ですか。簡単に言えば、外国へ投資する(法人を設立する)際のルールです。ルールなので「やっていいこと・いけないこと」があるわけです。

例えば、

・金融業で投資する場合、外国企業の独資はだめです。
・人身売買のような事業はやってはいけません。

など、わかりやすく言えばそんな感じです。

そして、投資分野ごとにルールが設定されています。ただし、注意すべきは、「ルールには書かれていないこと」です。私がいた業界はまさにこれにひっかかりました。つまり、投資しても良いともだめとも書かれていないグレーゾーン分野です。

こういう場合、ベトナムでは予想以上に時間がかかります。なぜなら、様々な回避策が必要になるからです。ベトナムでは、このようなグレーゾーンに出くわすことが多々あります。徐々に免疫がついてきますが、進出当初は「どうなるのか」不安になるものです。

何らかのカタチで解決策は出てきますが、色んな角度でトライします。そのため、グレーゾーンの解決には時間がかかることを理解しておきましょう。

③計画通りはせいぜい10%

計画を立てることは日本人は得意な民族だとつくづく私は思います。私も計画を立てるのは得意な方で、あらかじめの準備は万全なタイプでした。ですが、これは『日本のルール下だから成立するんだ』とベトナムに来て痛感しました。

前提として、日本人は基本的にルールを守ります。そして、ルールも細かく定められています。このルールの厳守があるため、計画が立てやすくなります。計画が立てられるかどうかは、物事を予想できるかどうかにも関係してくるわけです。

ですが、ベトナムではルールはあってないようなものです。変化も速いですし、ルールを守らないこともよくあります。また、これが一市民だけでないのが厄介なところです。そのため、次のようなことが発生します。

・問題が起きるはずがないところで起きる。
・通常の手続きが進むべきところで全く進まない。
・想像できないような手段を使うことがある。

こうなると、計画通りに事が運ばない方が多くなります。海外進出初の方だと、こういったことに不慣れなため、各ステップでストレスを感じるかもしれません。ですが、「計画通りはいいとこ10%」という私の言葉を思い出してください。きっと気持ちが落ち着き、時間を上手く使え、前に進めるはずです。

④とにかく契約書が多い

当たり前のことかもしれませんが、ビジネスでは細かいことも何かエビデンスを残すことは大事です。私の個人的な印象ですが、ベトナムでは「言った・言わない」が日本よりも遥かに多いです。また、ベトナムはデジタルが発達してペーパーレスも進む一方で、印鑑文化が残っています。そういったこともあってか、基本は何でも契約書が出てきます。

法人設立をして営業開始直後は、「え?そんなことにも契約書がいるの?」とよく思ったものでした。そのため、早い段階で契約書の作成や見方にも慣れておいた方がいいと思います。

⑤お金が絡むと相手も必死

「内面と外面が違う」というのは、もしかするとハノイ人の特徴かもしれません。なぜこんな話をこの記事でするのか言うと、ビジネスの面でも関係するからです。

ホーチミンにいる日本人の方々からよく「ハノイの人って腹黒いでしょ?」と聞いていました。腹黒いという表現より、お金が絡むと「やたら、かましてくる」という表現の方が適切かもしれません。

というのも、「お金が手に入る」と思えば、あらゆる職業の人が、様々な場所・局面で、外面を演じて来るからです。正直、日常生活ではそこまで感じません。ですが、「何か問題が起きて、解決したらお金が手に入りそうだ」と思った瞬間、味方のハノイ人までもかましてきます。

例えば、

・何か未払いがあり、それを当局から突かれる時
・従業員の雇用トラブルがあり、それを解決してもらう時
・取引先との間で、何らかのトラブルが発生した時

こういった時に、よく「かまして」きます。慣れれば「またこのパターンか」とわかります。ですが、何か脅し文句が来たり、心理操作をしてきたら、「おーまた芝居がやってきたな」と思って下さい。落ち着いて対処すれば、出ていくコストを抑えることができるはずです。ハノイで事業を始めれば、自ずとわかります。

終わりに

自分でも調べて蓄えた知識を元に、実際に現地で行動して経験を積む。これが何事においても価値になります。今回私は自分自身で経験したことをシェアさせていただきました。ベトナム進出の参考になれば嬉しいです。